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競業避止義務について

状況設定

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

ラーメンFCチェーンの来々軒は全国に加盟店をもつFCチェーンである。
加盟店であるAは、来々軒のブランドを使用して6カ月間事業を行ってきたが、
 ロイヤルティの高さに不満をもち、FC契約を解除した。その後同じ場所で
 同じようなラーメン店を事業を始めた。FC本部とAとの間のフランチャイズ契約書
 には「競業避止義務」の規定があり、契約の有効期間中および終了後2年間は
 Aは来々軒と競合する事業を行ってはならないとされていた。

考え方

一般的にFC契約で加盟店の競業避止義務を定める目的は、FC本部のノウハウを
保護すると共に、契約終了後に元加盟店がFC本部のノウハウを利用して他の加盟店
やFC本部の直営店の競争者となりその営業テリトリーを脅かすことを防止する点に
あります。

一方で、競業避止義務は加盟店の営業の自由(憲法第22条第1項)を制約することから
過度な制約にならないことが必要とされます。特に、「FC契約終了後」の競業避止義務
については加盟店の営業の自由に対する制約がより大きいことから当該競業避止義務が
過度な制約であると判断され、公序良俗に反し、無効であると判断されることがあります。

 

競業避止義務の有効性は、①禁止される業務の範囲②禁止される場所③禁止される期間
の3つの観点から見て、ノウハウや商圏の保護を超える過度な制約であると言えない場合
は競業避止義務は有効になります。もっとも(a)加盟店に同種事業の経験がある場合(b)本部の
帰責事由によりFC契約が終了した場合(c)FCシステムが存在しない場合は競業避止義務の
適用が否定される可能性もありますのであわせて検討する必要があります。

 

なお、「契約書における競業避止義務条項の文言自体」は過度な制約と判断される場合
でも、「実際の運用や請求の内容が限定的であり、その限りでは過度の制約にならない」
と言える場合はその限度で当該競業避止義務は有効であると判断される可能性があります。

 

競業避止義務の具体的ポイントとは?

(a)禁止される業務範囲
実務上多くのFC契約書に「同一または類似の事業」を競業の対象としています。
例えば、居酒屋のケースではメニューに完全に同一のものがあったり、備品等も
加盟店時代のものを多数、そのまま使用している場合などは「契約店舗に類似する営業」
と見做される可能性が高いです。
 

(b)禁止される場所
何らの場所的制限もなく、競業避止義務を加盟店に負わせることは、元加盟店の
営業の自由を過度に制約する可能性が高いです。一方で競業避止義務の目的は
FC本部のノウハウと商圏を保護するという観点に立ち、FCチェーンを展開する
可能性がある地域内で合理的な場所的限定をすれば通常は過度な制約にならないと
されています。例えば加盟店が営業していた神奈川県と埼玉県に限定して競業避止義務
を課す等です。
 

(c)禁止される期間

FC契約終了後にいつまでも競業を禁止することは加盟店の営業の自由を過度に制約する
と見做されるため、一定期間に限られます。一般的には「契約終了後2年間」と規定される
ことが多く、判例でも禁止される期間が2年間であれば、基本的には合理的な期間と判断
されることが多いようです。

差止請求/保全

万が一加盟店による競業避止義務違反があった場合、損害賠償請求の前にまず、一刻も
早く競業行為を止めたい場合に、仮処分を申し立てることを検討する必要があります。

競業避止義務違反行為の差し止めを求める仮処分を求めるためには、保全の必要性(債権
者に生ずる著しい損害または急迫の危険を避けるためにこれを必要する:民事保全法23条
2項)ことが要件とされています。

保全の必要性の有無は以下の4つの事情を総合的に考慮して判断されます。

(1)債権者の損害、危険
(2)債務者の損害
(3)債権者または債務者の帰責事由
(4)本案訴訟による紛争解決可能性

 

以下、各項目について解説します。

(1)債権者の損害、危険

 最も大事なポイントは、「加盟店の競業行為により損害、危険が生じたら
すぐに申し立てをする」ということです。

 競業行為の開始から仮処分申し立てまでの時間が空くと債権者の損害、危険の程度が
 小さいものとして保全の必要性が否定される方向に働くというリスクが生じますし、
 「なぜ時間がかかったのか?」について合理的な理由を立証する必要が出てきます。

 申し立ての主な主張のポイントは以下の4点です。
 ①ノウハウ侵害
 ②商圏侵害
 ③競業を許容した場合のFCシステム維持の困難性
 ④競業避止義務違反が継続する期間の見通し
 

()債務者の損害

加盟店に競業避止義務を負わせることにより、損害が生じるとしても
以下の観点から営業停止の範囲が合理的な範囲内に留まることを立証できれば
認められる可能性が出てきます。

①場所を限定
②期間を限定
③業態を限定

 

()債権者または債務者の帰責事由

当たり前ですが、FC本部としては差し止め請求/仮処分申し立てに至った経緯が
加盟店の帰責事由によるものであることを主張できるか?がポイントとなります。

一方で、加盟店の立場からするとFC本部の本部機能の欠如により競業店を出店せざる
を得なかったとFC本部側の落ち度を裁判所に認めさせることがポイントになります。

 

()本案訴訟による紛争解決可能性

訴訟を起こした際に競業避止義務の期間内に判決が出る可能性が低い場合には保全の
必要性が認められる方向に働く可能性が高いようです。

競業避止義務違反を理由とする損害賠償の範囲・違約金

競業避止義務違反を理由として損害賠償請求を求める場合や勝訴を前提とした和解
交渉が可能となる場合は、FC本部が損害金または和解金としてどの程度の金額を請求
できるか?が問題となり、通常は以下の2つのパターンで考えます。

(1)違約金条項がFC契約書に定められているパターン

基本的に定められた違約金の金額がベースになることが多いです。但し、あまりに
高額な場合は公序良俗に違反し、無効と判断されるリスクもあるとされています。
概ね「ロイヤルティの30カ月分程度」に留めるケースが多いようです。
 

 

(2)違約金条項がFC契約書に定められていないパターン

契約期間中の適当な期間(例:1年間)の1カ月の平均ロイヤルティ額に
競業避止義務違反期間を乗じた金額が損害とされる傾向にあります。

 

競業避止義務違反と秘密保持義務違反との相違点

(1)禁止行為の範囲の相違点

まず競業避止義務は秘密情報/ノウハウが実際に漏えいされたか否かは
関係なく、「競業する事業を行ってはならない!」としているところが
秘密保持義務違反とは異なります。逆に「競業行為が伴わない単なる秘密情報の
漏洩/開示行為」などは競業避止義務違反にはならないということになります。

 

(2)立証の困難性の相違点

まず秘密保持義務違反を根拠として損害賠償請求をする場合には、
「保護される秘密の特定」「その使用・開示の事実」「使用・開示と
損害との因果関係」を立証する必要があります。

一方で競業避止義務違反の立証は、競業の事実(例:加盟店が競業として禁じられている
ラーメン屋を営業している等)を立証すれば事足りるので、一般的には秘密保持義務違反
の立証よりも容易であるとされています。

 

トラブルになってしまった場合の対応

競業避止義務違反発生後、長期間経過した場合には、FC本部が当該違反を承認したもの
と推認される恐れがあります。これは仮処分申し立てにおいては保全の必要性だけでなく
和解になった場合の和解金額にも重大な影響を与えますので、競業避止義務違反を発見
した場合には迅速に対処することが重要です。

具体的には前述の競業避止義務条項の有効性判断の一般的な要素の他、FC本部の
帰責事由(本部機能の低下や契約終了にいたるまでの経緯)や加盟店の営業経験
(FC契約締結前にも同一事業を行っていたか)等の事実関係に着目して主張・
立証の準備を進めることになります。場合によっては加盟店の店舗に直接足を運び、
主張・立証に役立ちそうな事実の有無を確認し、証拠化することがポイントになります。

なお、営業停止の仮処分命令は加盟店に与える影響が非常に大きいので事業の内容に
よっては高額な担保金を積むことが求められます。そこで仮処分手続であえて和解を
選択し、担保金を積まずに営業を差し止めるという戦略もあり得ます。

 

しかし上記のことを実行するためには多くの時間/費用がかかります。精神的な
ストレスも大きいです。よってやはり競業避止義務違反が起きないようにまずは
トラブルを未然に防ぐためにやれることは全てやるのが得策です。

◆訴訟の費用対効果◆

当方の請求通りに裁判で勝訴して損害賠償金を得られたとしても訴訟を行うために
費やした証拠収集に関する時間と手間と費用を考えれば割りに合わないことがよく
あります。また競業避止義務の禁止期間内に訴訟が終わらないケースもあります。
さらに、訴訟を行っていることで他の加盟店/新規の加盟店希望者に対するイメージ
の悪化は避けられないでしょう。このように考えるとやはり普段から加盟店と良好な
関係を築き、競業避止義務違反などが生じないように最大限努力することが最も
費用対価が良い
と言えます。

★競業避止義務のトラブルを防ぐためのポイント★

では競業避止義務を未然に防ぐためにはどのようにしたら良いのでしょうか?
主に下記の2つの手段が考えられます。
 

(1)FC契約書上の手当て

たとえFC契約書上の競業避止義務違反の条文の文言が加盟店の営業の自由に対する
過度の制約に当たっていたとしても、実際の運用や請求の内容が限定的であり、その
限りで過度の制約に当たらない場合にはその限度でこの競業避止義務条項は有効である
と判断されます。

よってFC本部としては契約書上はちょっと理不尽だと思えるような過度の競業避止義務
の規定をし、実際にはケースbyケースでリーズナブルな運用をする、というやり方も
あるかもしれません。

 

(2)実務上の手当て

そもそも加盟店がFC契約違反のリスクを冒してまで競業を行うということは
FC本部に対して相当な不満を持っているケースが多いのです。よってそのような
不満をいち早くキャッチしてFC本部が改善すべきところは改善し、加盟店との
関係改善に努めることが何よりも大事です。これで加盟店の競業避止義務違反が
なくなればベストですが、よしんば契約終了+競業開始という状況になってしまった
としても「少なくともFC本部は関係改善の努力を行った!」という事実が仮処分や
訴訟でも重要なポイントになります。

 

 

説明は以上になります。

加盟店による競業避止義務違反はできるだけその要因を事前に解消し、
そんなことは起きない方が良いに決まっています。そのポイントに
ついてのチェックポイントや改善点については下記の「26のステップ」
が参考になるかと思いますのでもしお時間があればぜひ併せて読んでみてください。

 

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