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名板貸責任


◆状況設定◆

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

①老舗のラーメン屋「来々軒」はその味とサービスが評判で全国から
 お客が食べに来るので毎日行列ができる名店である。

②ある日のこと来々軒のスタッフAが「独立したい!」と店主に申し出たのを
 受けて、店主は独立を承諾し、「来々軒2号店」のブランドでスタッフAは
 営業を開始した。

③スタッフAは来々軒2号店を開業するにあたり、厨房機器メーカーから最新の
 製麺機(価格500万円)を購入した使用することとした。代金の支払方法は
 10回の分割払いで厨房機器メーカーと合意した。

④来々軒2号店は開店して2週間はお客様が行列をなしたが、その後は客足が
 途絶え、2カ月後にはスタッフAの資金が底をついて夜逃げしてしまった!

⑤困り果てた厨房機器メーカーの営業担当は、「来々軒の看板があったから私達は
 安心して製麺機の分割払いに応じたのです。よってスタッフAによる未払い分は
 あなたが肩代わりしてください!」と来々軒の店主に詰め寄ってきた!

 

◆考え方◆

原則として、FC本部と加盟店とでは独立した別の主体ですので、加盟店の行為に起因する
トラブルについてまでFC本部は第三者に責任を負わないと考えるのが普通です。

一方で、加盟店と取引した第三者は、事例のように「加盟店と本部を混同して取引をした」
という主張をするので、名前/ブランドを加盟店に貸したFC本部が第三者に対して連帯責任
を負うのか?という点が問題になる訳です。

これを「名板貸責任」といいます。

いったん名前を貸した以上、「それはスタッフAが勝手にやったことだからウチは知りませんよ!」とは言えないと言う考え方です。

 

ちょっと難しいかもしれませんが以下のような法律の規定がありますので、ご参考までに載せておきますね。

会社法第9条(自己の商号の使用を他人に許可した会社の責任)

自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。
 

商法第14条(自己の商号の使用を他人許可した商人の責任)

自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

 

◆名板貸責任を問われる要件◆

法律上、名板貸責任が認められる要件は以下の3つです。

↓ ↓ ↓ ↓

***************************************
(1)FC本部が営業主であることの外観があること

(2)FC本部の帰責性

(3)加盟店の取引相手による誤認

***************************************

 

もう少し詳しくご説明しますね。

 

(1)FC本部が営業主であることの外観があること

要するに、加盟店に対してFC本部の「商号」を利用させているような
場合です。

ところが今回の事例では、来々軒という「ブランド名、商標」を
スタッフAに使用させているだけなので「商号」には当たらないのでは?
という疑問もあるかと思います。

 

しかしあくまでも趣旨は、

「来々軒という看板を信用して(誤解して)取引をしたという
 厨房機器メーカーを保護する」
というものですので、上記の法律でいう「自己の商号」とは、
FC本部を誤認してもやむを得ない程度に類似した名称であれば足り、
商号と全く同じでなくても事足りるとされているので要注意です。

 

(2)FC本部の帰責性

下記のような場合はFC本部に責任があると裁判所に認められる可能性が
高いようですので要注意です。


(a)FC本部が加盟店に看板の設置を指導していること
(b)FC本部が加盟店に、加盟店が使用する名刺を供給していること

 

(3)加盟店の取引相手による誤認

ここでいう誤認とは、
上記の例で言えば厨房機器メーカーの営業担当が、FC本部が名板貸人で
ないこと(=加盟店とは違う事業体であること)について知らずに
かつ、FC本部が名板貸人であると誤認したことに重大な過失がない(=
厨房機器メーカーがFC本部が加盟店を本部と誤認して当然とみなされる)
場合をいいます。

もしFC本部が「そんなことないですよ!厨房機器メーカーは知っていたはずだ!」
と主張したいのであればそのことをFC本部が証明しなければなりません。

また名板貸責任を問われないように普段から、「厨房機器メーカーはFC本部の
加盟店であってFC本部とは違う独立した事業体であること」を看板、名刺、
契約書等々にわかりやすく記載しておくという点が重要になります。例えば
名刺などには「加盟店の商号を使用してもらう」などの手当てをしておくという
ことです。

 

◆名板貸責任が肯定されるとどうなる?◆

法律の条文上、「当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を
弁済する責任を負う」と規定されていますから、FC本部は加盟店と
連帯責任を負うことになります。

 

FC契約解除と更新拒絶

 

◆状況設定◆

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

①FC本部であるAラーメンチェーンは30店舗の加盟店をもっている。

②このFCでは麺、ツユ、チャーシューは全てFC本部から加盟店が購入して
 しようしなければならない!とフランチャイズ契約書に規定してある。

③ところがB加盟店はフランチャイズ契約書に違反し、FC本部に隠れて
 自分が付き合いのある業者から、安く麺を仕入れて店舗でラーメンを
 作って販売した。

④FC本部はB加盟店の違反に気づき直ちにフランチャイズ契約を解除することを
 検討している。

 

◆FC本部と加盟店の立場◆

◆FC本部
様々な理由で加盟店との契約関係を解除したいと思うことがある。
上記の状況設定以外にも、「ロイヤルティの支払をしない」「倒産した」
「FC本部のノウハウを第三者に漏えいした」「勝手にFCと競合する事業を
FC本部のノウハウを使って始めた」「単に性格が合わない」などなどが
考えられます。


◆加盟店
FCに加盟するにあたり、多額の資本を設備や人に投入しているので
FC本部による契約解消は容易に受け入れられない場合が多い。

 

そこで両者の利害が対立する訳です。

そこでまずは以下の3つの要件を検討します

↓ ↓ ↓ ↓

***************************************
(1)契約関係の解消における正当事由等の要否

(2)正当事由等の考慮要素

(3)契約関係の解消に伴う違約金

***************************************

 

もう少し詳しくご説明しますね。

 

(1)契約関係の解消における正当事由等の要否

まず、基本的にFC契約のような「継続的契約」については
加盟店の契約存続への期待を保護するという観点から、継続的
契約の解消には「正当事由等」が必要であるとするなど
ある程度契約の解消を制限するという考え方が普通です。

但し、契約自由の原則から継続的契約の解消の自由を認める
見解が裁判で認められた例もあることから、FC本部としては
それを主張すること自体には何も問題がありません。

その場合、「正当事由等」を意識してその可否を判断し、
その具体的事実関係を立証できるように証拠をきちんと
集めておくことが大事です。

 

(2)正当事由等の考慮要素

過去の判例において更新拒絶/契約解除に正当な事由があるか
否かは下記の要素が考慮されるようですので参考にしてみて
ください。

①更新/契約解除に係る契約書の規定内容(契約期間、自動更新or合意更新)
②それまでの更新状況
③契約の目的内容と実績
 (a)加盟店側の投下資本とその回収度合
 (b)加盟店の当該契約への依存度
 (c)両当事者の交渉力の差
④更新拒絶の経緯と理由(更新拒絶)/債務不履行の事実(契約解除)

上記のうち最も重要なのは④であり(更新拒絶の場合は更新拒絶の経緯と
理由、契約解除の場合は債務不履行の事実)これが正当性をもっていないと
なかなか更新拒絶/契約解除は認められにくいようです。

 

◆ケースでの検討◆

冒頭の例では加盟店がフランチャイズ契約書の仕入れ義務条項に違反しており
これはフランチャイズ契約の債務不履行に当たります。但し、これが重要な
麺ではなく、サイドメニューなどの軽いものであれば違反も軽微であり、
信頼関係の破壊には至らないため契約解除が認められないことも考えられます。

よって実務では、複数回警告したのにも拘らず、これを改めなかったという
事実や、仕入れ義務条項違反以外の加盟店の違反を積み上げることが大事な
ポイントになります。

参考までに他のケースも少しご紹介しますね。

例えば、加盟店によるロイヤルティの支払が遅延したようなケースです。
FC本部からすれば1回でも支払遅延があればすぐに契約解除できるような
イメージがあるかと思います。手形/小切手の不渡りと同じように考えがちです。
しかしながら過去の判例では、短期間の支払遅延や少額の不払い程度では
未だFC本部/加盟店の信頼関係は破壊されていないとして契約解除が認められない
ことが多いのです。

 

他には、加盟店が民事再生法手続きの申し立てをした場合ですが、このような
場合にFC本部はフランチャイズ契約を解除できるように思われがちです。
ところが判例では、民事再生手続きを開始したからと言って、フランチャイズ契約の
解除を認めることは、加盟店の事業再生の道を閉ざす結果にもつながるため、無効で
あるとした最高裁の判断もあり、訴訟になった場合は要注意です。

更に、M&A等による株式譲渡により加盟店の資本構成に重大な変更が生じる場合に
FC本部の事前の承諾が必要と定められているところ、実際に事前の承諾を得ることなく
株式譲渡を加盟店が行ってしまったケースにおいてフランチャイズ契約を解除できるか?
という問題ですが、例えば当該株式譲渡の影響により、ロイヤルティの支払状況が変動する
可能性があるか?支配権の移転に際し、虚偽事実を述べたか?正当事由はあるか?等々の
様々なチェックポイントがあるので要注意です。

 

◆トラブルを未然に防ぐ手当◆

(1)FC契約での「契約期間」や「合意更新」の活用

加盟店がFC本部にとって相応しくないか否か?は
FC契約を締結後に実際に運営してみて初めてわかることが
多いのです。よって最初の契約期間を6カ月や1年等の比較的
短期間に設定することは効果的です。FC契約は大抵3年~5年
ぐらいの期間設定をする場合が多いですが、少なくとも最初は
「テスト期間」のような位置づけにすると良いのです。

また、更新条件もよくありがちな「自動更新」ではなく
「合意更新」を検討されると良いでしょう。両当事者が
更新の条件に合意しなければそこで加盟店との関係を終わらせる
ことのメリットは大きいのです。

◆合意更新の条文例◆
本契約の有効期間1年目については、本契約締結日から1年間とする。
但し、期間満了日の1カ月前までに甲および乙が書面により諸条件に
ついて合意したときは、更に1年間本契約の有効期間は更新されるものとする。

 

(2)正当事由の証拠を普段から集めておく

普段から契約を解除するための正当事由を集めておくことが重要になります。
特に軽微な違反についてはすぐに解除したくなるのを我慢し、相当の期間を
おいて是正勧告や指導を繰り返して加盟店に是正の機会を与えたという事実を
積み重ねておくことで、いざ契約解除するときの十分な理由となる正当事由を
用意することができるのです。



◆実際の契約解除手続きの進め方◆
 

(1)相当の期間をおいて是正勧告

いきなり契約解除の通知をするのではなく、文書によって是正要求や
経営指導をすることによって、加盟店に是正の機会を与え、かついざ
契約解除するための正当事由を作ることになりますので焦らずに慎重に
ことを進めることが重要です。

 

(2)契約解除の手続

フランチャイズ契約書の規定に従い手続きします。具体的には
内容証明郵便を郵送します。またその際に損害賠償金や違約金等が
発生しているときは同時に請求しますし、保証金を徴収している場合は
これを充当してもなお、不足がある場合はその不足分を請求します。

 

◆契約解除はできるだけ避けるという観点◆

やはり、「契約解除は最後の手段」と位置づけ、できるだけ
「契約解除しないでトラブルを解決する」という考え方もあります。
特に、FC本部が本店舗の建物物件を所有していて加盟店と建物賃貸借
契約を締結しているときなどは、FC契約違反が必ずしも建物賃貸借
契約の違反になる訳ではないのでFC本部に不都合となります。

 

例えば、契約解除を交渉材料にして別途覚書をFC契約書に追加する
などしてより有利な新しい条件で契約を継続することが考えられます。

他には、信用不安を解消するために連帯保証人の不可を求めたり
競業避止義務違反に違約金の定めを追加することなどを検討してみる
のも良いかもしれません。

 

また、加盟店が不動産管理会社と店舗物件の賃貸契約を締結している場合
などは、フランチャイズ契約が契約解除された場合は、FC本部の
要請に従い、不動産管理会社-FC本部間で賃貸契約を締結できるよう
協力する義務を負わせるなどが考えられます。

損害賠償請求と違約金

 

◆状況設定◆

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

①美容サロン「ホルスト」は10件の加盟店を抱えるFCチェーンである。

②ある日のこと、加盟店AがFC本部に無断でFC本部のノウハウを使って
 別ブランド「ジュピター」で美容サロンの事業を行っていたことが発覚!

③FC本部と加盟店Aとの間のフランチャイズ契約書には競業避止義務と
 知的財産権侵害の規定があり、それに基づいてFC本部は訴訟を起こし、
 損害賠償金1,000万円の支払いを加盟店Aに求めた。

④加盟店A側の弁護士は競業避止義務と知的財産権違反は認めたものの
 FC本部の損害額は500万円が妥当だと反論し、裁判はその損害賠償額の
 妥当性を巡って揉めに揉めて最高裁まで争う羽目に至った。

 

◆考え方◆

加盟店の不法行為や債務不履行に基づいて契約解除をし、同時に損害賠償請求を
行うのが普通です。この場合、FC本部が損害賠償額の妥当性を立証する義務を負いますが
競業避止義務/知的財産権違反に基づいてFC本部に生じた損害額を正確に算定する
ことは難しいのです。

そこでフランチャイズ契約書では、予め加盟店の義務違反についての損害賠償額を
合意して規定しておき、これに基づいて損害賠償請求をするということをやります。
これを「損害賠償額の予定」といい、個別具体的な損害賠償額の立証は不要となる
という訳です。

但し、この損害賠償額の予定は当然、加盟店からの反発も予想されますので、
「妥当なケースと金額」を設計する必要があります。「まあそれだったら仕方ないか」
と思ってもらうことです。

 

◆妥当なケース
主に下記の3つについては、加盟店の重大な契約違反となるので損害賠償額の予定を
規定しても反発は少ないケースが多いようです。

(a)競業避止義務違反
(b)秘密保持義務違反
(c)知的財産権違反

◆妥当な金額
これは過去の判例を参考に妥当な金額を算定するしかありません。ご参考までに
下記にご紹介しておきます。

(a)ロイヤルティの60か月分
(b)ロイヤルティの30か月分
(c)加盟金の3倍
 

上記の他にも、「過去に支払われた平均ロイヤルティの金額×●カ月分」や
過去に支払われたロイヤルティの最高金額×●カ月分」などなど様々な
バリエーションがありますので、よく比較検討してみましょう。

 

 

 

 

加盟店の仕入れにどこまで本部が介入するか?

 

◆状況設定◆

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

 ラーメンFC本部である来々軒はその麺とツユはFCチェーンとしての水準/品質を
 維持するためと、FC本部の利益をあげるために全てセントラルキッチンで製造し、
 加盟店にも使用してもらうことをFC加盟の条件としている。但し値段が少し高めの
 設定である。一方で1円でも利益をあげたい加盟店はFC本部に内緒でツユを他の
 安い業者から仕入れ、麺については店舗の2階で自家製麺を作って売り始めた。

 

◆考え方◆

上記のようなFC本部による加盟店の経営についての介入については、独占禁止法19条の不公正な取引方法の禁止についての検討が必要になります。特に下記の5つの項目について個別具体的にチェックすることになります。

①抱き合わせ販売等の禁止
②排他条件付取引の禁止
③再販売価格維持行為の禁止
④拘束的条件付き取引の禁止
⑤優先的地位濫用の禁止

チェック方法については公正取引委員会が出している下記の
「フランチャイズ・システムと独占禁止法」のパンフレットが最も
わかりやすいと思いますので、一度ご覧いただくことをお勧めしますし
疑問点があれば公正取引委員会の担当者の方に電話で質問することも
可能です。
↓ ↓ ↓ ↓
https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/fcglpamph.pdf

 

◆独占禁止法違反と解釈されないためには?◆

ポイントを一言で言えば「正当な理由」を固めておくということです。
例えば加盟店の仕入れ先を限定するための正当な理由は下記のようなものが
考えられます。

①FCチェーンとしての水準と統一性を維持することが重要であるため、
 加盟店が使用する原材料や商品はFC本部が定める品質や基準を満たさねば
 ならない。
②一括大量によるスケールメリットを活かした安価での仕入れもFCビジネスの
 大きな利点であり、これを受けるために仕入れ先を限定する必要がある。
③FC本部の信頼する取引先に仕入れを一本化することで営業上重要な秘密情報の
 漏洩を防ぐことが可能になる。

 

◆実務上もっとも大事なポイントとは?◆

実務上は、あまり仕入れ先条項の形式な文言に拘って加盟店の裁量を一切認めない
というのも好ましくないでしょう。FC本部もできるだけ加盟店の発想、アイデアを
聞き、時と場合によってはそれを取り入れるぐらいの柔軟な姿勢をもつことも必要に
なります。加盟店は独立した事業主であり、従業員とは違うということを認識し、あく
までも対話とフォローによってその関係を強化し、トラブル防止に努めることが必要です。

加盟店の営業にどこまで本部が介入するか?

 

◆状況設定◆

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

 化粧品のFC本部であるA社はその水準/品質を維持するためその化粧品の販売方法
 については必ず顧客の顔を見ながらの対面販売を義務付けている。一方で1円でも利益
 をあげたい加盟店ではA社に内緒で、SNSによる販売を開始した。

 

◆考え方◆

FC本部としては、FCチェーンとしては水準/統一性を維持するために、商品やサービスの販売・提供方法、価格体系を統一・維持することが必須です。

そこで通常のFC契約書では、加盟店が商品やサービスの販売・提供方法について契約書の定めやFC本部の指示に従うことを規定します。さらに細かい商品の販売方法/サービスの提供方法はマニュアルに記載することが多く、加盟店はマニュアルの規定に従わなくてはならない旨も合わせて規定します。

そこでの正当理由は以下の3つがポイントです。
①当該規定に合理性があること
②当該規定が加盟店に平等・画一的に適用されること
③いかなる理由に基づき例外を認めるかについてFC本部の運用を明確化しておくこと

 

但し、「加盟店の顧客への商品/サービスの価格設定」については、FC本部による「希望価格」の提示は許されるが、「指定価格」の提示は「再販売の価格の維持」とされ原則は禁止とされています(独占禁止法第2条第9項第4号)

 

 

◆実務上もっとも大事なポイントとは?◆

FC本部としてはFCチェーンの統一的な営業活動が重要であり、その浸透のために
加盟店の協力が不可欠です。加盟店の理解を得て営業政策の実を上げるためにも
加盟店に対し、営業政策の目的を具体的かつ明確に説明する必要があります。

 

競業避止義務について

 

◆状況設定◆

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

ラーメンFCチェーンの来々軒は全国に加盟店をもつFCチェーンである。
加盟店であるAは、来々軒のブランドを使用して6カ月間事業を行ってきたが、
 ロイヤルティの高さに不満をもち、FC契約を解除した。その後同じ場所で
 同じようなラーメン店を事業を始めた。FC本部とAとの間のフランチャイズ契約書
 には「競業避止義務」の規定があり、契約の有効期間中および終了後2年間は
 Aは来々軒と競合する事業を行ってはならないとされていた。

 

◆考え方◆

一般的にFC契約で加盟店の競業避止義務を定める目的は、FC本部のノウハウを
保護すると共に、契約終了後に元加盟店がFC本部のノウハウを利用して他の加盟店
やFC本部の直営店の競争者となりその営業テリトリーを脅かすことを防止する点に
あります。

一方で、競業避止義務は加盟店の営業の自由(憲法第22条第1項)を制約することから
過度な制約にならないことが必要とされます。特に、「FC契約終了後」の競業避止義務
については加盟店の営業の自由に対する制約がより大きいことから当該競業避止義務が
過度な制約であると判断され、公序良俗に反し、無効であると判断されることがあります。

競業避止義務の有効性は、①禁止される業務の範囲②禁止される場所③禁止される期間
の3つの観点から見て、ノウハウや商圏の保護を超える過度な制約であると言えない場合
は競業避止義務は有効になります。最も(a)加盟店に同種事業の経験がある場合(b)本部の
帰責事由によりFC契約が終了した場合(c)FCシステムが存在しない場合は競業避止義務の
適用が否定される可能性もありますのであわせて検討する必要があります。

なお、「契約書における競業避止義務条項の文言自体」は過度な制約と判断される場合
でも、「実際の運用や請求の内容が限定的であり、その限りでは過度の制約にならない」
と言える場合はその限度で当該競業避止義務は有効であると判断される可能性があります。

 

◆競業避止義務の具体的ポイントとは?◆

(a)禁止される業務範囲
実務上多くのFC契約書に「同一または類似の事業」を競業の対象としています。
例えば、居酒屋のケースではメニューに完全に同一のものがあったり、備品等も
加盟店時代のものを多数、そのまま使用している場合などは「契約店舗に類似する営業」
と見做される可能性が高いです。

(b)禁止される場所
何らの場所的制限もなく、競業避止義務を加盟店に負わせることは、元加盟店の
営業の自由を過度に制約する可能性が高いです。一方で競業避止義務の目的は
FC本部のノウハウと商圏を保護するという観点に立ち、FCチェーンを展開する
可能性がある地域内で合理的な場所的限定をすれば通常は過度な制約にならないと
されています。例えば加盟店が営業していた神奈川県と埼玉県に限定して競業避止義務
を課す等です。

(c)禁止される期間

FC契約終了後にいつまでも競業を禁止することは加盟店の営業の自由を過度に制約する
と見做されるため、一定期間に限られます。一般的には「契約終了後2年間」と規定される
ことが多く、判例でも禁止される期間が2年間であれば、基本的には合理的な期間と判断
されることが多いようです。



◆差止請求/保全◆

万が一加盟店による競業避止義務違反があった場合、損害賠償請求の前にまず、一刻も
早く競業行為を止めたい場合に、仮処分を申し立てることを検討する必要があります。
競業避止義務違反行為の差し止めを求める仮処分を求めるためには、保全の必要性(債権
者に生ずる著しい損害または急迫の危険を避けるためにこれを必要する:民事保全法23条
2項)ことが要件とされています。

保全の必要性の有無は以下の4つの事情を総合的に考慮して判断されます。

(1)債権者の損害、危険
(2)債務者の損害
(3)債権者または債務者の帰責事由
(4)本案訴訟による紛争解決可能性

 

以下、各項目について解説します。

(1)債権者の損害、危険

 最も大事なポイントは、「加盟店の競業行為により損害、危険が生じたら
すぐに申し立てをする」ということです。

 競業行為の開始から仮処分申し立てまでの時間が空くと債権者の損害、危険の程度が
 小さいものとして保全の必要性が否定される方向に働くというリスクが生じますし、
 「なぜ時間がかかったのか?」について合理的な理由を立証する必要が出てきます。

 申し立ての主な主張のポイントは以下の4点です。
 ①ノウハウ侵害
 ②商圏侵害
 ③競業を許容した場合のFCシステム維持の困難性
 ④競業避止義務違反が継続する期間の見通し

 

(2)債務者の損害

加盟店に競業避止義務を負わせることにより、損害が生じるとしても
以下の観点から営業停止の範囲が合理的な範囲内に留まることを立証できれば
認められる可能性が出てきます。


①場所を限定
②期間を限定
③業態を限定

 

(3)債権者または債務者の帰責事由

当たり前ですが、FC本部としては差し止め請求/仮処分申し立てに至った経緯が
加盟店の帰責事由によるものであることを主張できるか?がポイントとなります。

一方で、加盟店の立場からするとFC本部の本部機能の欠如により競業店を出店せざる
を得なかったとFC本部側の落ち度を裁判所に認めさせることがポイントになります。

 

(4)本案訴訟による紛争解決可能性

訴訟を起こした際に競業避止義務の期間内に判決が出る可能性が低い場合には保全の
必要性が認められる方向に働く可能性が高いようです。

 

◆競業避止義務違反を理由とする損害賠償の範囲・違約金◆

訟を競業避止義務違反を理由として損害賠償請求を求める場合や勝訴を前提とした和解
交渉が可能となる場合は、FC本部が損害金または和解金としてどの程度の金額を請求
できるか?が問題となり、通常は以下の2つのパターンで考えます。

(1)違約金条項がFC契約書に定められているパターン

基本的に定められた違約金の金額がベースになることが多いです。但し、あまりに
高額な場合は公序良俗に違反し、無効と判断されるリスクもあるとされています。
概ね「ロイヤルティの30カ月分程度」に留めるケースが多いようです。

 

 

(2)違約金条項がFC契約書に定められていないパターン

契約期間中の適当な期間(例:1年間)の1カ月の平均ロイヤルティ額に
競業避止義務違反期間を乗じた金額が損害とされる傾向にあります。

 

◆競業避止義務違反と秘密保持義務違反との相違点◆

(1)禁止行為の範囲の相違点

まず競業避止義務は秘密情報/ノウハウが実際に漏えいされたか否かは
関係なく、「競業する事業を行ってはならない!」としているところが
秘密保持義務違反とは異なります。逆に「競業行為が伴わない単なる秘密情報の
漏洩/開示行為」などは競業避止義務違反にはならないということになります。

 

(2)立証の困難性の相違点

まず秘密保持義務違反を根拠として損害賠償請求をする場合には、
「保護される秘密の特定」「その使用・開示の事実」「使用・開示と
損害との因果関係」を立証する必要があります。

一方で競業避止義務違反の立証は、競業の事実(例:加盟店が競業として禁じられている
ラーメン屋を営業している等)を立証すれば事足りるので、一般的には秘密保持義務違反
の立証よりも容易であるとされています。

 

◆競業避止義務のトラブルを防ぐためのポイント◆

(1)FC契約書上の手当て

たとえFC契約書上の競業避止義務違反の条文の文言が加盟店の営業の自由に対する
過度の制約に当たっていたとしても、実際の運用や請求の内容が限定的であり、その
限りで過度の制約に当たらない場合にはその限度でこの競業避止義務条項は有効である
と判断されます。

よってFC本部としては契約書上はちょっと理不尽だと思えるような過度の競業避止義務
の規定をし、実際にはケースbyケースでリーズナブルな運用をする、というやり方も
あるかもしれません。

 

(2)実務上の手当て

そもそも加盟店がFC契約違反のリスクを冒してまで競業を行うということは
FC本部に対して相当な不満を持っているケースが多いのです。よってそのような
不満をいち早くキャッチしてFC本部が改善すべきところは改善し、加盟店との
関係改善に努めることが何よりも大事です。これで加盟店の競業避止義務違反が
なくなればベストですが、よしんば契約終了+競業開始という状況になってしまった
としても「少なくともFC本部は関係改善の努力を行った!」という事実が仮処分や
訴訟でも重要なポイントになります。

 

◆トラブルになってしまった場合の対応◆

競業避止義務違反発生後、長期間経過した場合には、FC本部が当該違反を承認したもの
と推認される恐れがあります。これは仮処分申し立てにおいては保全の必要性だけでなく
和解になった場合の和解金額にも重大な影響を与えますので、競業避止義務違反を発見
した場合には迅速に対処することが重要です。

具体的には前述の競業避止義務条項の有効性判断の一般的な要素の他、FC本部の
帰責事由(本部機能の低下や契約終了にいたるまでの経緯)や加盟店の営業経験
(FC契約締結前にも同一事業を行っていたか)等の事実関係に着目して主張・
立証の準備を進めることになります。場合によっては加盟店の店舗に直接足を運び、
主張・立証に役立ちそうな事実の有無を確認し、証拠化することがポイントになります。

なお、営業停止の仮処分命令は加盟店に与える影響が非常に大きいので事業の内容に
よっては高額な担保金を積むことが求められます。そこで仮処分手続であえて和解を
選択し、担保金を積まずに営業を差し止めるという戦略もあり得ます。

 

◆訴訟の費用対効果◆

当方の請求通りに裁判で勝訴して損害賠償金を得られたとしても訴訟を行うために
費やした証拠収集に関する時間と手間と費用を考えれば割りに合わないことがよく
あります。また競業避止義務の禁止期間内に訴訟が終わらないケースもあります。
さらに、訴訟を行っていることで他の加盟店/新規の加盟店希望者に対するイメージ
の悪化は避けられないでしょう。このように考えるとやはり普段から加盟店と良好な
関係を築き、競業避止義務違反などが生じないように最大限努力することが最も
費用対価が良いと言えます。
 


 

 

 

商標権/ブランドに係るトラブル

 

◆状況設定◆

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

ラーメンFCチェーンの来々軒は全国に加盟店をもつFCチェーンである。
加盟店であるAは、来々軒のブランドを使用して6カ月間事業を行ってきたが、
 ロイヤルティの高さに不満をもち、FC契約を解除した。その後同じ場所で
 来々軒の看板を継続してしようしてを事業を継続した。FC本部とAとの間の
 フランチャイズ契約書には契約終了後の看板撤去義務の規定があった。FC本部は
 同規定に基づき看板の撤去を求めると共に債務不履行の違約金としてAに500万円
 の違約金を請求した。

 

◆フランチャイズと商標登録◆

言うまでもなく、FCチェーンのブランドはFCシステムの根幹をなすものです。FC本部が
そのロゴ/ブランド名等の商標の出願を怠っていると、当該商標と類似の営業表示を使って
同種の事業を行う第三者が表れた場合、商標法に頼ることはできずに「不正競争防止法」
を根拠として権利主張を行うこととなります。しかし不正競争防止法では、FC本部の
ロゴ/ブランド名等の表示が顧客の間で周知または著名であることを証明する必要があり

多大な時間、費用、労力がかかります。

また、第三者がFC本部のロゴ/ブランド名等に類似する商標を類似の商品/役務において
先行して登録している場合、FC本部のロゴ/ブランド名を使用していると差止請求を
されるリスクがあります。

 

◆どこまで商標登録をすべきか??◆

商標出願登録は、商標を使用する「商品」または「役務」を指定して区分ごとに出願する
必要があります。出願の際に、どこまで商標登録しておくか?については現在の使用範囲
に加えて将来的に使用する可能性の範囲をあらかじめ考慮して決めます。当然ですが区分
が増加するごとに出願登録・更新にかかる費用も増加するため、費用との見合いで最終的
に決定することになります。

フランチャイズ事業に関連する役務としては第35類において例えば「フランチャイズ事業
に関する経営の指導および助言に関する情報の提供」や「加盟店に対する経営の指導および
助言」、「飲食店およびホテルのフランチャイズ事業の運営および管理」と言ったものが
あり、FC本部としては第35類においてかかる役務について商標登録を得ておく必要がある
ほか、飲食店やホテルといった対象事業の役務区分(例:第43類「飲食物の提供、ホテル
における宿泊施設の提供」など)においても出願しておく必要)があります。

 

◆商標権侵害とは?◆

商標権侵害と見做されるケースには下記の3つの側面で考えます。
①登録商標と同一または類似である商標を、
②指定商品または指定役務と同一または類似において、
③使用すること
 

(a)商標の類似性の判断基準
商標の類否については同一または類似の商品に使用された商標が外観、観念、呼称等に
よって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、
かつその商品の「取引の実情」を明らかにし得る限り、その具体的な取引の状況に基づいて
判断されます。また、判例上「取引の実情」については取扱商品の取引方法その他一般的な取引実績のみならず、商標の周知性、他の商標の存在状況、商標の使用状況・態様等の当該商標に特有の取引の事情も考慮する傾向が強いです。

(b)指定商品・役務の判断基準
特許庁が公表している「類似商品・役務審査基準」がベースとなっており、類似商品について
は生産部門、販売部門、原材料等が一致するか?をベースに類似判断を行うものとされており
、また類似役務については、類似の手段、・目的・場所、提供に関連する物品、業種が一致するか等を基準として判断するとされています。
 

(c)使用の判断基準
商標法第2条第3項第1号から第8号に規定されている使用についての定義に該当する形態を
いいますが、実際にはその判断は難しく、実際の訴訟でも争われることも多いです。
 


◆商標権侵害への対抗手段◆

民事訴訟上、以下の3つの対抗手段があります。

(a)差止請求・予防請求・侵害組成物廃棄等請求
  ⇒商標法第36条・第37条

(b)損害賠償請求
  ⇒民法第709条・商標法第39条(特許法第103条を準用)

  ・商標法第39条により、侵害行為につき過失が推定される。
  ・商標法第38条(損害額の推定規定)の適用が問題となることが多い
  ・相手方は損害が不発生であることを抗弁として主張することが可能

(c)信用回復措置請求
  ⇒商標法第39条(特許法第106条を準用)

  ・商標権者が業務上の信用を害された場合に認められる。
 

また、刑事訴訟上、商標法第78条および第78条の2に侵害罪が定められており、
刑事罰が科される可能性もあり、実際に商標権を侵害したとして逮捕されたケースも
あります。

 

◆損害額の妥当性の立証はどうすべきか?◆

見落としがちですが、裁判で損害賠償請求の権利を勝ち取っても、「ではいくら請求でき
るのか?」というその金額の妥当性を立証しなければなりません。

商標権の侵害事案では損害額の立証が困難なケースも多いため立証責任を軽減するために
商標法第38条第1項から第3項に以下のような損害の推定規定があります。

1.権利者の商品1個当たりの利益額×侵害品の販売個数(1項損害)

2.侵害者の利益の額(2項損害)

3.権利者による使用料相当額(3項損害)

フランチャイズの場合は、FC本部が加盟店に対して一律にライセンスしていることから
2項損害による損害額が認められる可能性があり、また3項損害による損害額が認められ
やすいと言えます。

 

◆不正競争防止法◆

FCのロゴ等を保護する法律としては商標法以外に「不正競争防止法」があります。
同法の中に「商品等表示」に関する規定がありその範囲は、商標として登録可能な
ものよりも広く、登録不要、さらに商品間の類似性は不要と言ったメリットがあります。

一方で、当該商品等表示の「周知性」や「著名性」が要件とされているので実務では
商標法上の請求と不正競争防止法上の請求を合わせて行う事も多いです。具体的には
以下の①混同惹起行為と②著名表示冒用行為の2点がポイントになります。

 

混同惹起行為
他の氏名、商号、商標等、他人の商品等表示として需要者間に広く知られているもの
(周知性要件)と同一または類似の表示を使用して、その商品または営業の出所について
混同を生じさせる行為を規制するものです。周知性要件についてどの程度かという問題が
あり、通常は「全国であること」を要するとされていあすが、一地方であっても保護すべき
一定の事実状態が形成されていればその限りにおいて保護されるべきと解されています。

 

②著名表示冒用行為
「自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一もしくは類似のものを使用し、
またはその商品等表示を使用した商品を譲渡する行為等のことをいう(不正競争防止法2条1項2号)

どの程度知られていれば「著名」と言えるかはケースbyケースですが、通常の経済活動に
おいて相当の注意を払う事によりその表示の使用を避けることができる程度にはその表示が
知られていることが必要であり、具体的には「全国的に知られている」程度のものが想定
されています。

 

◆トラブルを防ぐためのポイント◆

(1)第三者とのトラブル

まず第一に、自社で使用しているブランドが他社の商標権等を侵害しないか、早期に確認し、
必要な範囲で商標登録を行うべきです。また、自社の商標権を侵害する第三者の有無については定期的にWebサイト等においてチェックし、第三者が自社の商標を侵害している可能性がある場合には、弁護士・弁理士等の専門家に相談した上で、対応すべきです。

また、加盟店による商標の使用についての管理が大変重要です。具体的には、加盟店が
許諾された商標権の範囲を超えて使用していないかについても定期的にチェックする
必要があります。特に加盟店の使用態様によって第三者との混同が生ずることとなって
しまった場合には不正使用取消審判(商標法53条)によって商標権自体が取り消されて
しまうことにもなりかねないので要注意です。また第三者は本部ではなく加盟店を訴える
ことが可能ですが、加盟店が不適切に訴訟対応を行って敗訴した場合、本部のFC自体に
重大な悪影響を与えるリスクがあります。よってフランチャイズ契約書で第三者から
加盟店が商標権侵害等で訴えられた場合には、自分で勝手に対応せず、FC本部への通知や
FC本部の指示に従って訴訟対応する義務などを規定することが考えられます。

 

(2)加盟店とのトラブル

フランチャイズ契約書に明確な規定が設けられていなかったために、不正競争防止法違反になったケースもあります。よって実務では、商標的な使用が否かを問わず、契約終了時の商標の処理等に係る規定をしておくべきです。

 

◆トラブルになってしまった場合の対応◆

(1)第三者とのトラブル
まず「第三者がFC本部の商標権を侵害している可能性があることが判明した場合」
最初にやることは、「内容証明郵便」で警告書を郵送することです。但し、
内容証明だと相手に与えるショックが大きいので、その前に「メール」で
警告して相手の反応を観察することお勧めしています。

警告書の中で商標の使用禁止を求め、損害賠償請求までするか否かについては
違法性が認められる可能性の大小や販売規模等に応じて個別に検討します。また、
警告書を郵送する際には、将来的に訴訟になる可能性を踏まえ、関連するネット上の
広告や需要者の反応をプリントアウトして保存しておくことが重要です。

警告書の送付後、相手と交渉したものの期待した結果が得られない場合には
訴訟を検討することになりますが、その際には仮処分を申し立てるのか?それとも
本訴のみとするのか?、それとも両方を同時に提起するのか?を経営判断します。

 

一方逆に、「FC本部が第三者から商標権侵害の主張を受けた場合」には、相手方の
主張の合理性をまずは分析する必要があります。もしFC本部の商標侵害が認められて
しまえば、当該第三者との金銭的な賠償に留まらず、FCシステム全体に大きな影響を
与えてしまいます。よって商標の有効性、類似性、商標的使用の有無、先使用権の抗弁の
可否、相手方の主張が濫用的なものであるか否か?といったあらゆる対抗手段を検討し、
その上で、実際の交渉、訴訟では和解的解決を模索することが多いです。具体的には将来的
な販売停止を約束する代わりに在庫分の販売だけは継続させてもらうよう和解案を交渉し
たりします。

 

さらに、「加盟店が第三者から商標権侵害の主張を受けた場合」には、FC本部も他人事で
は済まされません。加盟店が敗訴した場合にFCチェーン全体に与える影響を考慮し、FC本部
と加盟店とでよく協議して当方の主張の方針を決めることが重要です。場合によっては
FC本部が訴訟に補助参加することも考えられます。

 

(2)加盟店とのトラブル
よくあるのは、FC契約終了後も元加盟店が、同一または類似の商標を用いて同一または
類似の商品または役務の提供を行ってしまうケースです。FC本部としては加盟店による
FC契約終了後の商標の使用状況、営業状況について写真等できちんと記録を残しておく
ことが重要になります。

なお、①商標を登録していない②商標登録しているが元加盟店が同一・類似の商標を
使用していない③同一・類似の役務を行っていない等で
「商標権に基づく請求が難しい」
場合は「不正競争防止法による請求」も検討します。
 

不正競争防止法における商標等表示は、混同惹起行為(2条1項1号)の場合、需要者の
混同の恐れがあれば類似しない分野であっても不正競争に該当します。また、そのマーク
が著名になっている場合は混同の有無も不要です(2条1項2号の著名表示冒用行為)。
例えば判例では、原告が眼鏡を指定商品として登録商標を有していたところ、被告がこれと
類似する商標を被告が有しているビル名を表すものとして使用していたという点について
指定商品との類似性がないから「商標権侵害ではない」が出所を混同させるものとして
不正競争防止法2条1項1号に該当すると認められています。

 

不正競争防止法の混同惹起行為における周知性、著名表示冒用行為における著名性は
認められるハードルが相当に高いです。よってこれらを立証するために普段から、
大量の広告、雑誌記事、多額の広告宣伝費を費やしたことの証拠を集めておくことが
重要なポイントになります。


 

FC本部に対するM&Aに関するトラブル

 

◆状況設定◆

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

ラーメンFCチェーンの来々軒は全国に加盟店をもつFCチェーンである。同じく
ラーメンで全国に直営店のチェーンをもつ三平ラーメンは事業拡大のため、来々軒の
株式を全部取得することを計画し、来々軒の大株主に接触を始めた。

 

◆デューデリジェンス(DD)◆

M&Aと言っても手法は色々とありますが(株式譲渡、株式交換、株式移転)
いずれの場合も対象会社であるFC本部のリスクを洗い出すために、
「デューデリジェンス(DD)」を行うことがほとんどです。

DDを含めたM&Aの全体の流れは以下のとおり。
↓ ↓ ↓ ↓
*******************************************
買収対象会社の選定
↓ ↓ ↓ ↓
買収対象会社にコンタクト・買収打診
↓ ↓ ↓ ↓
NDAの締結
↓ ↓ ↓ ↓

買収計画の策定
↓ ↓ ↓ ↓
基本買収契約締結
↓ ↓ ↓ ↓
デューデリジェンス(DD)
↓ ↓ ↓ ↓
最終買収契約締結
↓ ↓ ↓ ↓
クロージング
*******************************************
以下、株式取得のうち、「株式譲渡」によるM&Aを想定して
行う、「法務DD」について検討して行きます。なおFC本部と
言っても業種によって法務DDのチェックポイントも異なってきます。
よって法務DDに係る担当者、外部の専門家等は、フランチャイズの実務と
M&Aの実務の両方に詳しい者であることが望ましいです。
 

◆法務DDの概要◆

法務DDでチェックする法的問題点は、以下のとおりです。
↓ ↓ ↓ ↓
・M&Aの実施を妨げる事項
・M&Aの価格・条件の適正性に影響を与える事項
・M&A後の計画を妨げる事項
・M&A後に改善すべき事項

法務DDの基本的な流れは、以下のとおりです。
↓ ↓ ↓ ↓

*******************************************
DDチームの編成
↓ ↓ ↓ ↓
キックオフ会議
↓ ↓ ↓ ↓
資料開示リストの送付
↓ ↓ ↓ ↓
開示された資料の精査・チェック
↓ ↓ ↓ ↓
Q&Aシートの送付
↓ ↓ ↓ ↓
インタビュー
↓ ↓ ↓ ↓
中間報告
↓ ↓ ↓ ↓
追加調査
↓ ↓ ↓ ↓
最終報告

*******************************************

法務DDの基本的な検討項目は、以下のとおりです。
↓ ↓ ↓ ↓
・組織
・株式
・役員
・事業
・許認可・コンプライアンス
・資産/負債
・保険
・知的財産/システム
・労務
・紛争/クレーム
・環境規則

 

◆株式譲渡契約書の構成とは?◆

株式譲渡契約書の基本的構成は以下のとおりです。

・株式譲渡の合意および対価
・クロージングの前提条件
・クロージング
・表明保証
・売主の誓約
・買主の誓約
・補償
・契約の解除・終了
・一般条項

中でも「表明保証」、「売主/買主の誓約事項」、「クロージングの前提条件」に
ついて細かい交渉が展開されることが多いです。例えば、対象会社を被告とする
裁判など、簿外債務が顕在化する可能性がある事項が存在する場合に、当該事項を
表明保証の対象に追加することで損害が顕在化したときに売主に対して補償請求を
可能にするなどDDの結果を踏まえて株式譲渡契約書の内容に反映させることも
よく行われます。


◆DDにおけるFC契約書のチェックポイント◆

(a)FC契約書ひな形
多くのFC本部は「フランチャイズ契約書の統一ひな形」をもっています。よってまずは
そのひな形の「最新版」を入手するのが重要です。後は個々の加盟店との交渉に応じて
ところどころ変更している箇所がある可能性があるのでそこをチェックしていきます。
また別途「覚書」などで重要な条項を変更している可能性もありますので、別に合意
文書がある場合はそちらも漏れなく提出してもらいます。
また、FC本部が「飲食・小売」の業種の場合は加盟店に対して「22項目の開示」を
義務付けられていますので、そちらの資料も提出してもらいます。

 

(b)競業避止義務
DDにおいてはフランチャイズ契約書の「競業避止義務」を確認する必要があります。
ポイントは「競業避止義務の程度・範囲が加盟店によるFC本部の事業の侵害を
防止するのに十分か否か?」という点です。あまりに競業避止義務の範囲が抽象的かつ
広すぎるのは事案によっては限定解釈されることがあります。(例:FC契約終了後も
10年間競業避止義務が継続する等)

また、現に加盟店(元加盟店を含む)と競業避止義務に係る紛争がないか否か?や
現に競業行為を行っている加盟店の有無の確認が必要です。

 

(c)加盟店のテリトリー権
加盟店に「テリトリー権」が付与されていないかをチェックします。
これらが付与されている場合は、加盟店の承諾がない限りFC本部がそのテリトリー内に
直営店を出したり、他の加盟店を出店させたりすることができなくなったりします。

具体的には以下の4つぐらいのパターンがあります。
①加盟店に独占的なテリトリー権を与える
②加盟店に独占的なテリトリー権が与えられているがFC本部だけは直営店の出店可
③加盟店に優先的な出店権/販売権を与える
④加盟店の近隣に出店したときは、加盟店の営業に支障が出ないようにする義務


特に上記①および②は「エリアフランチャイズ契約」によく見られますのでエリアフラン
チャイズ契約には特に注意です。

さらには、買主が対象会社と同業を営んでいる場合も要注意です。例えば対象会社の
買収の手法として「吸収合併」を選んだ場合、対象会社の権利義務は買い手に当然承継
されます。そうすると吸収合併以降、同業を営んでいる買主が加盟店に対して負うテリトリー
権を守る義務に違反してしまうリスクが生じます。

もっともそのテリトリー権が「対象会社のブランドに限定されている場合」はこのリスクは
軽減されます。例えば対象会社が○○カレーのFC展開をしていて、買主が▲▲カレーを
営んでいるのであればテリトリー権には抵触しませんので、まずは「テリトリー権の内容」を
きちんと正確に把握する必要があります。
 

(d)営業権の譲渡が有る場合の法定の競業避止義務
対象会社が直営店の営業権を加盟店その他の第三者に譲渡している場合、
会社法上の事業譲渡に該当する可能性がある点には要注意です。

この場合、営業譲渡契約において対象会社の競業避止義務を免除する旨の規定がないと
対象会社は、譲渡実行日から20年間、譲渡対象店舗の所在地と同一の市町村区域内
およびこれに隣接する市町村の区域内において同一の事業を行ってはならない義務を
負う
ことになります(会社法21条1項)

そのため、会社法上の事業譲渡に該当する可能性がある営業権譲渡契約書の有無を
確認し、(人材、契約、資産等)このような事実がある場合はDDにおいて契約に
競業避止義務を免除するような特約の規定が設けられているかを確認することが
重要です。そしてこのような特約がないケースでは、対象会社の競業行為の有無、
営業権を譲り受けた加盟店とのトラブルの有無、当該加盟店の採算性(採算が悪い
ときはトラブルになるリスクがある)を要確認です。

◆上記のDDの結果を踏まえた対応策

上記のDDの結果を踏まえて売主との株式譲渡契約書においては、
問題となりそうな加盟店の書面承諾を売主に取得させることおよびDDで
確認されたもの以外に売主が競業避止義務等の買主の事業を制限する義務を
負っていないこと/現に存在する競業避止義務等の買主の事業を制限する
義務についてもそれに関連する紛争が存在しないこと、などを売主に表明保証
させるなどの手当てを株式譲渡契約書でしていきます。

◆FC契約書上の解除事由◆

見落としがちですが、M&Aの株式譲渡や事業譲渡を対象会社が行う場合、
加盟店の承諾なしには行えないような規定がFC契約にある場合が多いので要注意です。
また、事案によっては、買主がFC本部を買収後、そのFC展開の縮小を検討している
ケースもあります。そして買主がFC本部に対して加盟店とのFC契約を中途解約させる
ように要求してくる場合があります。しかしこの場合、「継続的契約の法理」が適用される
ことにより、これらの主張が制限される可能性があるため、個別具体的に継続的契約の法理
がどの程度適用される事案なのかを確認する必要があります。
 

◆独占禁止法や各種ガイドラインに反する規定の有無◆

FC本部による加盟店への行き過ぎた介入(例:再販売価格をコントロール等)は
独占禁止法に違反する可能性があります。ここで実務で大事なのが、契約書の規定だけ
は独占禁止法/各種ガイドラインに違反していなくても、「実際の運用が違反している
ケースがある」
ということです。よって対象会社において独占禁止法および各種ガイド
ラインを順守する体制・運用が取られているか否か、DDで確認する必要があります。

混同惹起行為
他の氏名、商号、商標等、他人の商品等表示として需要者間に広く知られているもの

 

◆エリアフランチャイズ契約◆

提携パートナーと合弁会社を設立し、同社をエリアフランチャイザーとするケースに
おいては、エリアFC契約と合弁契約をバラバラに検討するのではなく、それらを
あわせて検討します。

例えばですが、提携パートナーがエリアフランチャイザーとなる合弁会社の議決権の
過半数を有しているために、エリアFC契約上、エリアフランチャイザーを縛ることが
できていない場合であっても、合弁契約上、FC本部が提携パートナーに対して拒否権
を有する条件になっている場合には拒否権の対象となっている条項についてはFC本部の
コントロールが及んでいることからリスクとして考える必要はないt考えられます。

 

◆賃貸借契約◆

これは、「FC本部が店舗の賃貸借契約を不動産管理会社と行い、加盟店に転貸借していて
その契約が、「定期賃貸借契約」になっている場合のチェックポイントです。定期賃貸借
契約の場合は期間満了により契約が終了となるので契約の存続が担保されていません。また
店舗の業績が好調な場合、期間満了時を狙って競合他社がより有利な転貸借条件で不動産
管理会社にオファーすることも考えられます。よってどの程度の割合の店舗で定期賃貸借
契約が締結されているか?また期間満了時に予定通り契約が終了する見通しか否か?などを
確認する必要があります。

 

◆COC(チェンジオブコントロール)条項◆

COC条項を含む契約の相手方からの事前承諾等の所定の手続きを得ずに株式譲渡等を
行った場合、相手方から契約の解除や違約金の支払い等を求められるリスクがあります。
そこで買主としては、株式譲渡契約において対象会社に対し、法務DDで明らかになった
COC条項が付された契約がないことを表明保証させると共に、誓約事項としてCOC条項が
付された契約につき、相手方から事前に書面による承諾を得る義務を規定することが
必要になります。。特に重要な契約の場合はこれらの承諾を得ることを前提条件にすること
もあるぐらいです。一方で対象会社からは第三者の意志に左右される事項を制約条件や
前提条件にするのは難色を示す場合も多いですので「努力義務」に変更を求めてくることも
ありますので、この辺がどれくらいのリスクがあるのか等の様々な状況を検討のうえ
慎重に検討することになります。
 

◆許認可・コンプライアンス◆

①加盟店に対する情報提供義務の遵守

FCにおいてはその業種によっては、加盟店の募集にあたり、次の②で説明するような
法廷開示書面の交付義務があります。これは加盟店が契約締結するにあたり、客観的な
判断材料となる正確な情報を提供する信義則上の義務であり、当該義務違反を理由として
訴訟も多いです。そのためDDにおいてはFC本部がどのような書面を加盟店に交付して、
どのような説明を日常的に実施しているか、さらにそれらに関連する訴訟・トラブルが
生じていないかチェックする必要があります。

 

②法定開示書面の交付

FC本部のうち、「飲食・小売業」については、中小小売商業振興法が定める法定記載事項
を記載した、書面を作成・交付し、加盟店に説明しなければならないとされています。
この義務に違反すると、主務大臣による改善勧告がされる可能性があり、勧告がされている
のにも拘らず改善しないと主務大臣にFC本部の名称等を公表されるリスクがあります。
なお、この法廷開示書面の交付義務はエリアフランチャイズでも同じですし、またFC本部が
複数のブランドのフランチャイズを展開している場合には、ブランドごとに適切な記載に
変更する必要があります。

 

③加盟店のコンプライアンス

加盟店にコンプライアンス違反が発生した場合には、FCチェーン全体のブランド価値を
損なうリスクが生じます。よって加盟店のコンプライアンス体制を把握し、必要に応じて
改善できているかチェックが必要です。そのためDDではFC本部が加盟店のコンプライ
アンス体制を適切に把握するためにどのような運用をとっているかなどを確認します。
特にFCチェーンを立ち上げたばかりの頃は、FC本部自身が事業を行うにあたって
必要な許認可・事業規制を把握できていないケースもありますので要チェックです。

 

◆知的財産権◆

FC本部にとってそのロゴマーク等のブランドは最も重要でFCチェーンの根幹をなす
ものです。よって対象会社の商標登録の有無、内容、商標権をめぐる紛争の有無等について
要確認となります。
更に、買収後に商標権侵害等の問題が生じると、対象会社の事業に悪影響が出るので
株式譲渡契約において、これらの点のついて表明保証させると共に、損害を補償請求
できるようにしておくことが必要です。特にFCチェーンの歴史が浅いと、十分な
商標登録がなされていないケースもあるので要注意です。なお、対象会社が十分な
商標登録をしていない場合は、株式譲渡契約においてクロージング前の売主の義務として
対象会社に、商標登録の申請を行わせることを規定することもあります。

また、FCビジネスではFC本部のノウハウが大変重要です。ノウハウの管理体制に
ついて社内の秘密保持管理についても要確認です。また個人情報を取り扱うFCチェーン
の場合には、個人情報の保護の管理体制や漏洩自己の有無および実施した再発防止策の
内容なども要確認です。

 

◆労務◆

労務に関するDDの目的は、「人員承継のための必要な手続きの確認」および「対象会社
の労務リスクの洗い出し」の2点です。

 

人員承継のための必要な手続きの確認

まず最初の「手続き」についてはスキームによって必要な手続きが異なります。
「合併」においては労働関係は当然に承継され、存続会社において雇用関係も存続します。「株式譲渡」「株式交換」「株式移転」等の株式取得による場合は単に株主構成の変更に
すぎないため、基本的には対象会社における雇用関係が存続します。

他方、「会社分割」を用いる場合ですが、雇用契約の承継は分割計画または分割契約に
よって定めることができます。但し、労働者を保護する必要があるため、「会社分割に
伴う労働契約の承継等に関する法律(労働契約承継法)」に定める手続きに従う必要が
あります。

また、「事業譲渡」を用いる場合は、個々の権利義務の移転であることから、雇用関係に
ついては転籍
となり、労働者の個別の同意が必要となります。また、スキームに拘らず、
労働協約等で労働組合との事前協議義務等を課されている場合もあるのでその点も確認が
必要です。

 

対象会社の労務リスクの洗い出し

労務リスクについてよく問題となるのは、未払い残業代による隠れた債務の存在であり
未払いの規模によっては取引の成否や金額にも影響を与えます。未払い残業代は様々な
要因により生じるので、多面的な検討が必要になります。その他、偽装請負の存在、
派遣社員に関する対応、解雇や雇止めの問題など、労務リスクの洗い出しを全般的に
行うのが通常です。

 

◆紛争・トラブル◆

加盟店/元加盟店その他の第三者との間で、訴訟・紛争がすでに発生しているケースも
比較的多いです。このような場合、その内容を検討のうえ、敗訴リスクにつての見通し
を検討する必要があります。まず、当該訴訟に対する引当金が計上されているか、敗訴
した場合に適用可能な保険があるか、敗訴した場合に他の加盟店との関係に波及する
可能性があるか等を検討します。

この場合、敗訴した場合に備え、紛争・トラブルの不存在を売主の表明保証の対象にし、
将来存在が顕在化した場合には、補償請求ができるようにしておく方法があります。
また、敗訴する見込みが高い場合は、最初からそのリスクを買収価格に反映することも
考えられ、さらに訴額によっては、偶発債務を承継しない事業譲渡、会社分割のスキーム
の採用可否の検討をします。さらにDDで明らかになったもの以外に訴訟・紛争等が存在
しないことを表明保証させることにより、売主に対する責任追及の道を確保しておく
べきです。

なお、過去の訴訟であってもその内容を検討のうえ、同種の訴訟が起きる可能性について
検討する必要があります。例えば過去に説明義務違反を理由とした訴訟が加盟店から
提起されており、十分な再発防止策をとっていない場合には同種の訴訟が提起される
可能性があるためマニュアル改訂等の再発防止策の実施を検討する必要があります。また、
加盟店からのクレームについてもどのような類型でどの程度存在するのかについて確認し、
対象会社が具体的な対応をしているかを確認することも必要です。さらに加盟店の抱える
紛争によりFC本部が責任を負うケースもあり得ることから対象会社が把握している範囲で
加盟店と第三者との間での紛争について要確認です。

 

◆加盟店がM&Aされる事案◆

加盟店がM&Aをされる事案については、FCビジネスが加盟店との信頼関係のうえに
成り立っている以上、できるだけ早い段階で買収会社に面談を申入れ、FC契約に
COC条項があることを買収会社に伝えつつ、新経営陣との信頼関係を築くことが
可能かどうか、買収会社がどういう会社なのか、また新経営陣がどのような経営を
するのかを慎重に見極めることになります。

なお、その際には買収会社が競合他社であったり、競業を既に実施している場合など
FCチェーン内部に入って来ることによってチェーンの信用や秩序が維持できなくなる
可能性があるかどうかををできるだけ見極めることが大切です。

 

FC本部が注意すべき労務管理上のトラブル

 

◆状況設定◆

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

A社は「整体FCチェーンの足揉みん」ブランド名で全国に加盟店をもつFCチェーンで
ある。B社はA社の加盟店として整体院を運営している。B社は経費削減のため各整体院
に常駐する従業員の数を減らし、時間外労働も常態化していた。このような実態について
A社も把握していたが、これはB社の問題なので特に対策をとってこなかった。そうこう
しているうちに、B社は従業員に違法な長時間労働をさせているとして、労働基準監督署
から指導を受け、社名を公表されてしまった。

 

◆労務問題リスク◆

労務問題のコンプライアンスが機能していないと、当局から指導等を受けるリスクが
あるのはもちろん、ブラック企業として社会的に認知されてしまうという風評被害が
大きな問題となります。FC本部としては自社の労務リスクはもちろんのこと、
加盟店の労務リスクについても気を配る必要があります。なぜならばFC本部と加盟店は
別法人であっても世間の目から見れば、これらは一体とみなされる可能性があり、事実上
加盟店の違法行為はFC本部の評判を落としてしまうリスクがあるからです。


 

◆管理監督者と残業代◆

「管理監督者」とは、労働基準法41条2号に定められる、「監督若しくは管理の地位に
ある者」であり、労働時間に関する記載の対象外とされています。しかしこの表現は抽象
的であるため、「どこで管理監督者と一般労働者を区分けするか?」が問題となります。

この点については厚生労働省の通達や判例によって以下の3点を考慮すべきとされています。


①事業主の経営に係る決定に参画していることおよび労務管理に係る指揮監督権限を認めら
 れていること

②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること

③一般の従業員に比しその地位と権限に相応しい賃金を与えられていること

 

さらにFC事業でも特に「小売業/飲食業」の店舗における管理監督者の範囲について
は厚生労働省が特に通達を出し、この通達の重要な要素とされている項目に一つでも
該当した場合は管理監督者性が否定されるリスクが高まると言えます。

 

◆管理監督者の範囲が不適切である場合のリスクとは?◆

管理監督者性が否定された場合、是正勧告等の行政処分を受けるリスクがあるほか
民事訴訟によって過去2年分(労働債権の消滅時効は2年)の時間外労働および
法定休日労働に係る割り増し賃金を請求されることがあります。また労働基準監督署
によっては訴訟を起こした当該従業員以外の該当者全員に対して任意で未払いの残業代
を支払うケースもあり、企業規模によっては数億円の支出が発生することもあります。


◆判例による判断基準◆

例えばあるFCのエリア長については、①部下の採用、人事考課、勤務表作成・残業の
指示にかかわっているか?取締役会・経営会議棟に定期的に出席しているか?②出退勤
時間が決められているか?③職務手当支給の有無、非管理監督者の給与との比較等の
要素を見て判断することになります。なお、裁判所は一般的に管理監督者性を厳格に
判断しており、会社側が勝訴するケースはあまりみられません。

 

◆トラブルを防止するために◆

まずは、自社で管理監督者として扱っている範囲が適切か否かを専門家を交えて確認する
必要があります。特に多店舗展開している事業で、店長等を管理監督者として扱っている
場合は、管理監督者でないとされるリスクが高いです。

管理監督者として扱っている者が、管理監督者でないとされる可能性が相当程度高い場合、
取り扱いを変更し、通常の従業員と同様に時間外割増賃金を支払う事も検討の余地があり
ます。過去2年間の未払い分を任意に支払うと言うことも考えられますが、紛争に発展する
可能性等も考慮のうえ、判断します。

このように、管理監督者の範囲を厳格にとらえると、人件費の総額が増えることになるので
対策として、①職務手当の額を減らす②定額残業代制度の導入③裁量労働制の導入などが
考えられます。いずれも就業規則の不利益変更の問題もあるため慎重な検討が必要です。
 

◆外部労働者の活用に当たっての注意点(派遣、業務委託等)◆

外部の労働力を活用するにあたっては派遣、請負、業務委託など様々な方式がありますが、
派遣法の平成27年改正等もあり労働の実態によってはこれらが違法とされることもあり
ます。

 

◆派遣の留意点◆

①派遣法の意義

元々、人材の派遣は「供給契約に基づいて労働者を他人に使用させる」という労働者供給
事業に該当するものとして職業安定法44条により全面的に禁止されていました。これは
使用者と労働者との間に立って、労働者が受ける利益の一部をはねることを仕事としている
ものをできる限り排除し、使用者と労働者との間に近代的な労働関係を築こうとしたものと
されています。しかしながら企業側の弾力的な労働力調達のニーズや雇用の多様化を踏まえ
労働者供給のうち適正なものを派遣業として認めることとしました。このように労働者供給
は派遣法に基づくものを除き、原則は禁止されているというのが大事なポイントです。
 

②派遣法の平成27年改正による派遣可能期間の見直し

派遣法は平成27年に大きな改正がされ、従来は専門性の高い業務を特定し、その業務に
ついては派遣期間の制限がなく、他方ではそれ以外の業務について原則1年、最長3年の
期間制限がありました。

これに対して27年の改正派遣法では専門業務と自由化業務の区分を廃止し、全ての
業務について以下のような事業所単位と個人単位の期間制限を設けることになっています。

(a)事業所単位

派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受け入れは原則3年を上限とする。

(b)個人単位
派遣先の同一の組織単位における同一の派遣労働者の受け入れは原則3年を上限とする。

 

③労働契約みなし申込制度
これは以下のような違法派遣を受け入れた場合に、派遣先が派遣労働者に対して派遣元の
労働条件と同一の条件で労働契約を申し込んだと見做す制度です。

(a)派遣禁止業務への派遣社員の受け入れ
(b)無許可・無届の派遣元からの派遣社員の受け入れ
(c)派遣受け入れ期間の制限を超える派遣社員の受け入れ
(d)偽装請負

 

④派遣社員の特定の禁止
派遣法では、派遣先が派遣社員受け入れにあたり、派遣労働者を選考し、特定する行為を
紹介予定派遣を受け入れる場合を除き禁止しています。そのため、派遣予定者を事前に
面接したり、履歴書の送付を求めることなどはできません。また性別を限定したり、
年齢の上限を設けたりすることもできません。一方で、派遣労働者が自らの意思で
派遣先事業所訪問や履歴書の送付を行う事は禁止されていません。

 

◆偽装請負、偽装出向の問題点◆
①偽装請負/出向の問題点


「請負」は請負人が委託者に業務の完成を約束し、委託者が報酬を支払う契約であり、
「出向」は出向元と雇用契約を保ちながら、出向先との間で新たな雇用関係を発生させ
出向先に勤務する契約です。

ところが、いずれも見た目は形が似ているため、「形式上は請負、業務委託、出向の形
をとっているけれども実態は労働者供給に当たり、違法=偽装請負/出向」というケースが
出てきます。請負等が実質的には労働者供給に当たるとみなされた場合、行政指導/勧告を
受け、刑罰の対象にもなることがあります(職業安定法64条9号)

 

②どのような場合に違法となるか?

請負、業務委託や出向が違法となるかどうかは、契約の名称ではなく「労働の実態」に
よって判断されます。請負については行政解釈により、派遣との区別が詳細に定められて
います。(昭和61年労働者告示第37号「労働者派遣事業と請負により行われる事業
との区分に関する基準を定める告知」(平成24年厚生労働省告示第518号最終改正)、
厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成27年9月)3頁)。

「請負」、「業務委託」とされるためには原則として以下の要件を満たす必要があります。

(a)請負人が労働力を直接利用していること(業務遂行・労務管理・秩序維持について
   労働者を直接指揮監督すること
(b)業務処理の独立性(資金調達の独立性、業務遂行についての責任の負担、自らの
   企画や技術による業務遂行)

これらを満たさない場合には、実質的には違法な労働者供給とみなされることに
なります。

出向(出向元との雇用契約を維持するいわゆる在籍型出向)についてはこれが業として
行われるときは、違法な労働者供給に当たるものとされる一方、出向が以下のような
目的をもっているのであれば、出向が繰り返し行われていたとしても業として行われる
場合は少ないとされています。
(a)関係会社における雇用機会の確保
(b)経営指導、技術指導の実施
(c)職業能力開発の一環
(d)企業グループ内の人事交流の一環

 

◆偽装請負/偽装出向トラブルを防止するために◆

偽装請負/偽装出向の問題を回避するためにまずは自社に存在する請負、業務委託、出向
についてその実態をチェックし、適法と言えるかをチェックする必要があります。そして
疑わしい契約が合った場合にはその運用を見直す必要があります。

具体的には、業務委託であるのに現場で自社の従業員が直接個々の受託者従業員に業務
指示を出していたような場合
には、これを止めるべきです。もっとも受託者の責任者に
対して業務についての指示を行うのは業務委託契約上の指示にあたり許されます
ので
そのような扱いに変更できるか要検討です。

また、自社に受託者の従業員に来社してもらって業務を行う場合、自社従業員と机を
並べるなど、混在した形で業務を行う事は、指揮監督の独立性を損なうため避けるべき
です。もっとも同じ部屋にいても全く異なる業務を行っている場合は独立性は保たれて
いると考えても良いです。
 

◆加盟店の労務リスクと社名公表◆

加盟店が労務問題を起こした場合は、基本的に加盟店の問題であり、FC本部がコントロール
できるものではありません。しかしながらFCチェーンでは、加盟店がFC本部と共同で
FC事業を行っているため、加盟店の労務問題はFC本部のレピュテーションリスクに直結し
とくには深刻な影響を与えます。
特に、厚生労働省が違法な長時間労働を繰り返している企業について早期是正の指導と
社名の公表を行うこととしており、社名の公表がリスクとなっています。

◆トラブルを未然に防止するためのソリューション◆

加盟店の労務問題は他人事ではなくFC本部のレピュテーションリスクに直結するという
認識をもち、このコンプライアンスが守れない加盟店はFC契約解除も辞さないという
姿勢が大事です。

対策としては労務管理について何かしらのモニタリング体制を設け、労基署からの指導が
入った場合は加盟店がこれを是正しているかFC本部がチェックするという対応が必要
なる場合があります。

エリアフランチャイズ契約に関するトラブル

 

◆状況設定◆

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

A社は「学習塾FCチェーンの学君」ブランド名で全国に加盟店をもつFCチェーンで
ある。B社はA社の加盟店として学習塾を10校運営している。A社はB社から学習塾

事業について「エリアフランチャイズ」の地位を与えて欲しいとの提案を受けた。
A社はB社との間でエリアフランチャイズ契約を締結するか、それともB社と合弁契約を
締結したうえで、合弁会社との間でエリアフランチャイズ契約を締結するか検討している。
 

◆エリアFC契約◆

エリアFC契約は、FC本部が特定のエリアで開発力を有すると見込まれる者(エリア
フランチャイザー)に対し、そのエリア内で加盟店を募集し、または直営店を運営する
権利を与えることを主たる条件とする契約です。

 

マスターフランチャイザー

↓ ↓ ↓ ↓(エリアFC契約)

エリアフランチャイザー

↓ ↓ ↓ ↓(サブFC契約)

サブフランチャイジー/直営店

 

◆エリアFCシステム導入のメリット◆

エリアFCシステムの導入の理由は以下の3点と言われてています。


①マスターフランチャイザーが全地域において人脈や経済特性に詳しい訳ではないため
 との地域に詳しいエリアフランチャイザーに展開を委ねた方が効率的。(特に海外展開
 する場合は現地のエリアフランチャイザーに任せた方がメリットがある)

②エリアフランチャイザーを通して地域ごとに展開を進めた方が加盟店開発のスピードを
 加速することができる。

③エリアフランチャイザーに特定地域の指導も委ねることで、マスターフランチャイザー
 からのスーパーバイザー派遣コストを削減可能

 

◆エリアFC契約の概要およびポイントとは?◆

①テリトリー権の内容

エリアフランチャイザーに対して一定の地域における直営店およびサブフランチャイジー
との間のサブFC契約を締結する権利を独占させるケースが多いです。但しエリアFC契約に
よってはマスターフランチャイザーの直営店出店を認めるケースがあります。「マスター
フランチャイザーの直営店を出す余地を残すか否か?」が注意すべき大きなポイントです。

②最低出店数に関する義務

エリアFC契約によっては一定の期間ごとに一定数以上のサブFC契約を締結することを
義務付けていることもあるが、エリア・フランチャイザーの立場からすると、①当該
エリアでそれだけの出店が現実的に可能かを確認すると共に②可能性が低い場合は、
努力義務に修正することが考えられます。

③契約終了後の競業避止義務

エリアFC契約において、マスターフランチャイザーがエリア・フランチャイザーに
契約終了後も競業避止義務を課すケースが多いです。エリア・フランチャイザーと
しては次の契約終了後の店舗の取扱いとあわせ、マスターフランチャイザーの
帰責事由により契約終了した場合は、競業避止義務を負担しないよう交渉したり
します。

 

④契約終了後の店舗の取扱い

エリアFC契約において、その終了後に①エリア・フランチャイザーの直営店および
②サブ・フランチャイジーの店舗の取扱いをどうするのか?を規定することは大変
重要です。

具体的にはエリアFC契約が終了した場合にはマスターフランチャイザーが、指定した
エリアフランチャイザーの直営店およびサブ・フランチャイジーとの契約を、一定
価格で承継することができると定めるケースがあります。
このような規定を設けることにより、マスターフランチャイザーとしてエリアFC契約が
終了した後も、希望した地域については引き続き商圏を確保・維持することができます。

逆にエリアフランチャイザーとしては引き続き同種の事業を継続したいと考えるケースも
あるかもしれません。そのためにマスターフランチャイザーの責めに帰すべき事由により
エリアFC契約が終了したような場合には、エリアフランチャイザーが直営店および
サブフランチャイジーとの契約関係に意思決定できるとする条件を規定することもあります。

さらに、サブフランチャイジーとするとマスターフランチャイザーへの契約承継を
希望するケースもあるかと思いますので、エリアFC契約に上記のような承継に関する
規定を置く場合には、サブFC契約にも同趣旨の規定を明示し、サブフランチャイジーとの
間で後に紛争にならないように要注意です。


⑤違約金条項

エリアFC契約の場合は通常のFC契約と異なり、当事者間の交渉力に大きな差がない場合
があり、マスターフランチャイザー側にも違約金条項を設けるケースがあります。

マスターフランチャイザーからすると、交渉力との関係上、マスターフランチャイザー側
の違約金条項を設けざるを得ない立場であっても、その効力をできるだけ限定的にすべき
である。具体的には違約金条項のトリガーとなる事由をエリアFC契約がマスターフランチャイザーの帰責事由により解除された場合に限定するとともに解除事由の中に包括的な条項を
設けないようにするなどの工夫が必要となります。

⑥FCシステムの変更等

エリアFC契約では、マスターフランチャイザーがエリアフランチャイザーに対し変更の
指示をしたときはエリアフランチャイザーは本部の指示に従い、FCシステム、店舗物件、
サブFC契約の内容および書式の変更を行うよう義務付けていることが多いです。また
この場合、エリアフランチャイザー自身だけでなく、サブフランチャイジーにも当該義務
を履行させる必要があるためサブFC契約において、サブフランチャイジーがエリアフランチャイザーの指定するFCシステムの変更等を行う義務を設けることが必要になります。

⑦サブFC契約の内容

「マスターフランチャイザーの提供する様式を使用しなければならない」などと
規定することが多いです。なお、当該様式の変更時における規定も重要です。

⑧商標

商標権についての権利の帰属および商標権に係るトラブル・紛争があったときに
対応する当事者および費用負担について規定しておきます。
 

⑨契約期間
エリアフランチャイザーの立場からすると、エリアFCの展開を開始するために
相当額の投資をしているので契約期間をより長期にすることを求めることが多いですので
ここも交渉のポイントになります。
 

⑩合弁契約とエリアFC契約
合弁会社を設立し、当該合弁会社をエリアフランチャイザーとするエリアFC契約を
締結するケースがあります。この場合はエリアFC契約と合弁契約の両方を相互に
確認しつつ進める必要があります。

まず第一に確認するのはエリアフランチャイザー(=合弁会社)の議決権の過半数を
マスターフランチャイザーが保有しているか否か?拒否権を有しているか否か?という
点です。

例えばエリアFC契約上、エリアフランチャイザーに課せられる競業避止義務が
軽減されており、契約期間満了後であればエリアフランチャイザーが自由に
競合行為を行うことができる建付けになっていたとします。

この場合でも合弁契約上、エリアフランチャイザーが新しい事業の開始、または既存事業の
変更を行うことにつきマスターフランチャイザーに拒否権が与えられていれば、エリアFC契約上は自由に競業行為ができそうに見えても、マスターフランチャイザーが当該拒否権を発動
することによりこのような行為を防ぐことができます。

さらにエリアフランチャイザーに対する金融支援をするように相手方から求められるケースも
あります。

また、合弁会社においてマスターフランチャイザーが議決権の過半数を保有していない
場合には拒否権対象の範囲が必要十分か否か?は重要なポイントです。実務上拒否権条項
の対象に含められることが多いものとしては以下のようなものがあります。

①定款変更等の会社の基礎に関する事項
②新株発行等の株式に関する事項
③年度予算の承認等の計算に関する事項
④組織再編・M&Aに関する事項
⑤重要な契約に関する事項

また、エリアフランチャイザーの株式の譲渡に関しては以下の規定の検討が必要です。

①先買権(First Refusal Right)
②売主追加請求権(Tag Along Right)
③強制処分権(Drag Along Right)
④プットオプション/コールオプション

さらに、合弁当事者間で意見が一致せず、合弁会社が重要な意思決定を行うことが
できなくなる場合(=デットロック)に備えてデッドロックの解消法(一定期間の協議)
、デットロックが解消されない場合の取扱い(プットオプション、コールオプション)
について定めるケースも多いです。
 


◆サブFC契約◆

サブFC契約とは、エリアフランチャイザー/サブフランチャイジー間の契約のことを
いいますが、マスターフランチャイザー/エリアフランチャイザーとのエリアFC契約が
(債務不履行解除ではなく)合意解約された場合は、その効果をサブフランチャイジーに
対して対抗できないとも考えられます。これはサブフランチャイジーがあたかも転借人の
ごとき地位にあると考えられるところから来ています。

よってマスターフランチャイザーとしては、サブFC契約上、エリアFC契約終了時には
終了原因にかかわらず、サブFC契約が終了する旨の定めを設けるなどして、マスターフランチャイザーとエリアフランチャイザーとの間の契約終了の効果をサブフランチャイジーに
対抗できるような措置を講じておくことが重要です。
 

 

 

海外FC展開に関するトラブル

 

 


 

◆状況設定◆

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

A社は日本でラーメン店のFC事業を行っていて、海外進出の第一歩としてまずは
タイのバンコクに出店を決定した。A社はパートナーとなる現地企業B社を選定し、
B社との合弁会社であるC社を設立したうえで、C社との間でマスターFC契約を
締結した。C社はバンコクで1年間、直営店を運営した後にFC展開を始めたが、
収益が上がらず赤字続きだったため、A社はB社からC社の株式を買い取って合弁事業を
解消した。A社は他のパートナーを探していたところ、B社がA社に無断でA社の店舗に
似たラーメン店を開店したことが発覚した。

 

◆海外FC進出のための5ステップ◆

1.ターゲット・マーケットの選定

  ↓ ↓ ↓ ↓

2.ビジネス戦略の調査・策定
  FC法制を含む法制度の調査・把握
  商標関係の調査・登録

  ↓ ↓ ↓ ↓

3.進出形態の検討

  ↓ ↓ ↓ ↓

4.パートナーの選定

  ↓ ↓ ↓ ↓

5.契約締結

 

◆ターゲットマーケットの選定◆

海外進出にあたり、以下のようなポイントを考慮してまずは決めて行きます。
・進出国についてどの程度知識があるか?
・日本とのマーケットとの共通性
・金融/労務上の規制の有無
・進出国市場の発展可能性
・進出国市場の競争環境
・共通化したマーケティング戦略を打ち出せるか?
・類似業種を営む他社の進出状況


◆どのような形態で進出するか?◆

①直轄方式

日本・FC本部
↓ ↓ ↓ ↓
現地の直営店または現地企業(フランチャイジー)
◆日本から現地の直営店または加盟店を「直接」管理するのは難しいため
 あまりこの形式は取られないです。

②拠点設置方式

(a)現地企業とマスターFC契約

日本・FC本部(マスターフランチャイザー)
↓ ↓ ↓ ↓
現地企業(サブフランチャイザー)
↓ ↓ ↓ ↓
現地企業(サブフランチャイジー)または直営
◆日本のFC本部が現地に投資する必要がないため、イニシャルコストを
 かけたくない場合等に利用されます。

(b)子会社を設立
日本・FC本部(マスターフランチャイザー)
↓ ↓ ↓ ↓
現地100%子会社(サブフランチャイザー)
↓ ↓ ↓ ↓
現地企業(サブフランチャイジー)または直営
 

(c)合弁会社を設立

日本・FC本部(マスターフランチャイザー)
↓ ↓ ↓ ↓
現地・合弁会社(サブフランチャイザー)
↓ ↓ ↓ ↓
現地企業(サブフランチャイジー)または直営

◆合弁会社の設立による方法は、①資本を入れることで合弁契約等に
 おいて日本のFC本部のコントロールを効かせやすく、②現地のパートナーも
 出資することでリスクを低減でき、③現地のパートナーの知識・経験・現地法・
 文化への対応能力を活用できるという利点があって利用しやすいです。

 

また、上記(a)のバリエーションとして以下のような契約形態もあります。

(d)エリアデベロップメントアグリーメント(ADA)
日本・FC本部
↓ ↓ ↓ ↓
現地企業エリアデベロッパー)
↓ ↓ ↓ ↓
直営店

◆現地企業に対してFC展開させるのではなく、直営店の運営のみを許可する方式です。

 

(e)エリアリプリゼンタティブアグリーメント(ARA)

日本・FC本部
↓ ↓ ↓ ↓
現地企業エリアリプリゼンタティブ)
↓ ↓ ↓ ↓
加盟店

◆現地企業はサブフランチャイザー/エリアデベロッパーにならず、単にFC本部の
 代理人として現地加盟店の募集業務・加盟店のサポート等を受託し、FC契約自体は
 FC本部と現地加盟店との間で直接締結します。

 


◆トラブルを未然に防ぐソリューション◆

①リーガル面で事前にやっておくこと
進出先が決まったら、マーケティング調査と並行して「リーガル面」での進出準備が
必要です。具体的には商標調査/商標登録が必須であり、また進出先のFC法制その他
法規制を把握しておく必要があります。

②FC法制~2つの基本的な考え方
FC契約に係る各国の立法および裁判例における基本的な考え方は以下の2通りです。

(a)当事者の自己責任
契約締結前に情報の開示を徹底する一方で、契約の内容に同意を与えた後の
事業リスクは当事者の自己責任と考える立場です(開示要求型)。

2002年にユニドロワ(私法統一国際協会)が作成したフランチャイズモデル法
(Model Franchise Disclosure Law)や日本の中小小売商業振興法でも一定のFC本部の
情報開示義務が定められており、基本的にはこの立場を取っています。

(b)当事者の契約関係を規制
もう一つの考え方は、当事者の契約関係をも規制するとともに、裁判所による部分的な
修正を必要とするものです。

各国の規制は上記(a)(b)のどちらかに分類されるものもあれば、これらを両方とも
用いて規制を行っている国もあり、また当局への届け出が必要とされる場合もあるなど
細分化されており、国ごとに注意深く法制度を確認する必要があります。
 

◆各国のFC法◆

■中国

①規制の概要
中国ではフランチャイズのことを「商業特許経営」といい、中国の商務部がこれを管轄
しており、詳細な規制が定められています。
中国のFC法制は、「商業特許経営管理条例」(以下、条例)ならびにその下位規範である
「商業特許経営登録管理弁法(FC事業の届出に関し条例を補完)」および「商業特許経営
情報公開管理弁法(FC事業の事前の情報公開について条例を補完。以下、情報公開法)」の
3つの法令からなります。

ビジネス開始までのフローは以下の通りです。

現地法人設立またはサブ・フランチャイザー選定
↓ ↓ ↓ ↓
情報開示(FC契約締結の30日前まで)
↓ ↓ ↓ ↓
FC契約締結
↓ ↓ ↓ ↓15日以内
FC事業の届出
↓ ↓ ↓ ↓10日以内
届出完了の通知


なお、中国においては以前にあったFCの外資向け特別規定がなくなり、内外資での
特段の違いはありません。

②情報開示
FC本部は加盟店候補者に対し、契約締結30日前までにフランチャイズに関する
情報を開示する必要があり、条例および情報公開弁法によって詳細な開示項目が定め
られています。これは日本の中小小売商業振興法上の開示項目よりも広範にわたっており
中国における既存の加盟店の経営状況(投資額や純利益などの情報も含む)や投資予算の
見積り根拠等まで開示しなければなりません。

③FC事業の届出要件
FC事業の商務当局への届け出要件は以下のとおりです。
(a)成熟したビジネスモデルを有し、加盟店のために継続的に経営指導、技術サポート
  および業務研修等のサービスを行う能力を有していること
(b)少なくとも2つの直営店を有し、経営期間が1年を超えていること

なお、上記(b)の要件について、直営店は中国国内である必要はなく、母国で直営店を
2店舗以上、1年を超えて経営していれば足りるとされています。

④FC契約規制の概要
契約関係についても法令で記載されていますが代表的なものは以下の2点です。

・契約締結後一定の期間内は加盟店が一方的に契約を解除できる規定(=クーリングオフ)
 を入れる必要がある。
・FC契約の期間は3年以上とする。但し、加盟店が同意した場合はこの限りではない。

 

■韓国

①規制の概要
FC規制については、加盟事業取引の公正化に関する法律(以下、加盟事業法)という
FC事業を規制する特別法があり、厳格なFC規制を取り入れているので要注意です。

②情報開示
詳細な事前情報開示義務に加え、その開示書面を韓国公正取引委員会に登録することが
義務付けられています。公正取引委員会が内容の真実性を調査し、虚偽や誇張のある情報、
重要事項の不記載等があった場合は登録拒否、取り消しを行うことがあります。
 

③FC契約規制の概要
FC契約時に支払われる加盟金はFC本部は直接受け取れず、加盟店から銀行に預託され、
加盟店の営業開始等の確認後に初めて受け取れることになっています。(=加盟金預託制度)FC本部による虚偽情報提供等の事実があったときは、加盟店がこれおを取り戻すことが
できます。

最長10年まではFC本部はフランチャイズ契約の更新拒絶ができません。

さらに、2014年2月に施行された改正加盟事業法では以下の規制が新たに採用
され、FC本部にとっては厳しい内容となっています。

・中小企業者ではないFC本部または直前の事業年度に100を超える加盟店を
 有するFC本部に課せられる、売上予測の提供義務
・契約の目的と内容、発生しうる損害等、大統領令で定める基準に比して過重な
 違約金を賦課することの禁止
・不当な営業時間拘束の禁止(不当な深夜営業の要求の禁止)
・不当な販売地域の侵害の禁止(営業地域内の近隣出店の禁止)
・加盟店の作る団体との交渉義務
 

■米国
米国は連邦制を採用しており、①50州全てに適用される連邦法と②各州にのみ適用
される州法、の2つに注意が必要となります。

(a)連邦法
連邦法では連邦取引委員会(FTC:Federal Trade Commission)がFTC開示規則を
定めています。それによると契約締結の14日前までに以下のような内容の情報開示書類
(FDD:Franchaise Disclosure Document)の開示がFC本部に義務付けられています。

・FC本部の身元、事業経験、加盟店との民事訴訟件数等
・加盟金、ロイヤルティ等
・仕入れ制限がある場合、仕入れ先とFC本部の関係、本部のリベートに係る情報
・域内での競合に関する情報
・FC本部が提供する支援等に関する事項、契約更新に関する事項、店舗の業績情報
・店舗の連絡先、直近に脱退した元加盟店の連絡先

(b)州法
各州によって違いはあるが連邦法よりも厳しい定めをしている州もあるため
必ず各州の規制を要確認です。

例えばニューヨーク州、カルフォルニア州など15州では上記FDDについて
加盟店に開示する義務に加え、当局への登録を義務付けています。

また、FTCの基準よりも詳細な開示項目をもったFDDの交付を求める州もあります。
FC関係規制を目的とした州法を制定している州は、カルフォルニア州、ニュージャージー州
など17州あり、内容は様々ですが、FC本部からの一方的な解約や更新拒絶を規制している
点ではほぼ共通しています。

(c)他の法律

米国では、消費者保護法、競争法、FCPA(海外腐敗行為防止法)など、FC法以外にも
注意すべき法律があります。消費者保護法については加盟店を消費者とみなす州も複数
あり、要注意です。

 

■イギリス
イギリスには特段の外資参入規制はなく、比較的自由にFCビジネスを行うことが
できます。また当局への届け出等も不要です。またFC法は存在せず通常の契約法に
よって規律され、フランチャイズ固有の事前開示義務を定める規制もありません。
但し、フランチャイズ協会(British Franchise Association)が自主規制を行う
など強い指導力を発揮しており、自主規制の違反に対してはフランチャイズ協会に
よる会員資格の停止や除名を含む処分が規定されています。

 

■シンガポール
シンガポールではイギリス同様にFC事業を直接規制する法令はなく、契約法や
競争法等の一般法によって規律されます。当局への届け出も不要です。なお、
The Franchising and Licensing Association (FLA)という業界団体に加盟して
いる場合には団体の定めるルール(Code of Ethics)に従わなければならないという
規制があるのみです。Code of Ethicsは契約締結の7日以上前の事前開示など比較的簡素
で一般的な事項からなっており、さほど厳しいものではないです。

 

■オーストラリア

(1)規制の概要
まずオーストラリアでは外資規制として、2億5200万ドル以上の資産価値を持つ
オーストラリア企業に対して単独外国投資家で15%以上、複数の外国投資家で40%
以上の投資を行う場合、Foreign Investment Review Board(FIRB)の承認が必要と
なります。

フランチャイズ法制は産業別規則と言われる規則類の一部であるフランチャイズ規則
(Franchising Code of Conduct)によって規律されており、開示規制と関係規制の
双方があります。

 

(2)情報開示
フランチャイズ本部は契約締結の14日前までに開示書類を作成し、加盟店に開示する
必要があります。開示項目も法定されていて、かなり細かい開示が要求されています。

 

(3)フランチャイズ契約規制の概要
FC加盟店は法律家/コンサルタントの助言を受けた後でなければFC契約の締結をしては
ならず、FC本部は確認のため、助言を受けた旨の証明書を提出させなければなりません。

また、加盟店保護のためにFC契約締結後、7日間のクーリングオフ期間が設けられて
います。


さらに契約内容については、①FC本部の加盟店に対する責任を包括的に免責するような
規定の禁止、②契約終了規制(契約違反があっても必ず是正期間をおかなければならず
是正期間内に是正されない場合に限って解除が認められる)③加盟店に対する過大な追加
投資を要求することの禁止等、の加盟店の保護に厚い規制がされています。

 

■ベトナム

(1)規制の概要
ベトナムにおいては外資系小売業者が多店舗展開する場合、2店舗目以降について、
Economic Needs Testと呼ばれる外資規制にかかり、当局による審査があります。
なお、100%現地資本の現地企業との間でのマスターFC契約を締結する場合や
現地企業と直接FC契約を結ぶ場合は、この規制にかからないため、進出形態については
この点を踏まえて要検討です。なおEconomic Needs TestはTPP協定によりその発効後
5年の猶予期間を経てコンビニ、スーパー等の小売流通業の出店について廃止される
ことになっています。

FC事業に係る法規制については、以下のようなものがあり、「情報開示型」を基本と
するものの、一部FC契約内容についても規制があります。

・商業法(Commercial Law) 第VI章第8節
・2006年3月3日付法令(Decree)第35/2006/ND-CP号
・2006年5月25日付通産省発布通達(Circular)09/2005/TT-BTC号

 

(2)情報開示
フランチャイズ本部は契約締結の15日前までに加盟店希望者に対し情報開示書面を
交付しなければなりません。また開示すべき事項は法定されています。

 

(3)FC事業の登録要件
商工省(MOIT)でのフランチャイズ業の登録が必要です。要件としては登録時に
ベトナム国内において1年以上直営店での事業を行っている必要があります。

(4)FC契約規制の概要
契約は文書で締結しなければならず、言語はベトナム語でなければなりません。また
契約解除に関する要件が法定されている(=フランチャイズ本部からの解除に関しては
加盟店による深刻な契約違反時、重大な信用棄損時に限定)

 

■タイ
タイではFC規制の前に、外資規制に要注意です。
外資100%または外資が議決権の過半数を保有する法人はThe Thai Ministry of Commerce
(MOC)による外国人事業ライセンスを取得した後でなければFCビジネスができません。その
取得には通常8~12カ月間かかり必ず取得できる保証もありません。このため、FC本部が
議決権の過半数を保有しない形で合弁会社を設立する、現地法人とマスターFC契約を締結
するなどの形態を検討する必要があります。

FCビジネスを規制する法律はなく、Civil and Commercial Codeや競争法等の一般法に
よって規律されます。なお事前開示規制もありません。

 

■マレーシア

(1)規制の概要
マレーシアでは外資規制としてコンビニエンスストア、ミニマーケット、雑貨屋、ガソリン

スタンド等については外資の出資が禁止されています。大きいスーパーマーケットについて
もブミプトラ出資要件(マレーシア出資30%以上)が課されています。そのためこれらの
業種の場合は、100%現地資本の会社とマスターFC契約を結ぶ等の方法で進出すること
になります。
FC規制はフランチャイズ法(Franchise Act,1998年制定、2012年改正)によりかなり
詳細な規制が置かれています。規制のタイプとしては開示要求型と関係規制型の双方をもち
当局への登録も必要です。また、マレーシア国内でビジネスをするためには、現地法人や
支点を設立することが求められています。

(2)情報開示
フランチャイズ契約締結の10日前までに加盟店希望者に対してフランチャイズ契約ひな形と
情報開示書面を交付しなければなりません。開示すべき事項は法定されており、それに従って
書面を作成する必要があります。

 

(3)FC事業の登録要件
マレーシアではフランチャイズ事業の登録が必要であり、登録時に過去3年間の監査済の
決算書類を提出する必要があります。明文化されていないものの、サブフランチャイザーと
契約するためには、3年以上当該事業で利益を出していることが要件となっているようです。
またフランチャイズ本部だけでなく、加盟店の登録も要求されますので要注意です。

 

(4)FC契約規制の概要
契約に必ず定めなければならない事項が法定されていて、それを欠く契約は無効となります。
そして7営業日以内のクーリングオフが認められており、またFC契約の契約期間は、5年
を下回ることができません。また原則的にFC本部は正当事由がある場合を除き、フランチャイズ契約を解除することができず、更新拒絶の場合にも一定の補償をしなければなりません。
なお、法令違反に対しては民事上の責任のみならず刑罰が科される可能性があり、罰金だけ
でなく、懲役刑も法定されています。

 

■インドネシア

(1)規制の概要
インドネシアでは自国産業保護のために強い外資規制が設けられており、大統領令2014年第39号で、外資に対して閉鎖されている事業分野および条件付きで解放されている事業分野が定められています。例えば小売業は100%内資でなければならず、レストラン等の飲食業の外資の条件は49%または51%とされ、立地にも制限があります。

FC規制については政令2007年第42号(Government Regulation No.42 of 2007 on 
Franchising)などにより規制されています。開示規制と契約関係規制の双方があり
当局への届け出も必要です。自国産業を保護するための規制が強い
のが特徴です。


(2)情報開示
情報開示については、情報開示書面を作成し、遅くとも契約締結の2週間前までに加盟店の
候補者に交付しなければならないとされています。


(3)FC事業の開始要件
FC本部は当該業態について5年以上の業歴があり、かつFCビジネスを開始する時点で
継続しており、利益が出ていることが必要です。また外国のFC本部からサブFC権を
得る場合にはサブ・フランチャイザーは1店舗以上の直営店を営んでいる必要があるため
現地法人をサブ・フランチャイザーとして指名する場合は最初に直営店を経営してもらう
必要があります。


また、加盟店には一部でもFC本部の資本が入っていてはならないとされているため、
子会社や合弁会社を設立してサブ・フランチャイザーとする方式は取れない
ことになります。
 

登録に関しては、情報開示書面を商業省(Ministry of Trade)に登録してSTPWと呼ばれるライセンスを取得する必要があります。ライセンスの有効期間は5年であり、外国法人がこの登録
をするためにはインドネシア語で記載された情報開示書面について公証役場の認証および
大使館・領事館での外国文書の認証が必要になります。


(4)自国産原料の使用義務

インドネシアで特徴的なのは、「80%ルール」と呼ばれる自国産業保護規制であり、
原料、取扱商品、設備等のうち80%はインドネシア産のものを使わなくてはなりません。

80%の基準は価値ではなく品数で判断されます。但し、商業省への申請・審査を経て
正当な理由(例:日本食レストランで日本産の食材をどうしても使う必要がある等)があれば
これが免除される可能性はあります。

 

(5)FC契約規制の概要
契約書は文書でされなければならず、インドネシア語に翻訳のうえ、商業省への登録が
必要になります。また、契約に定めるべき事項が法定されています。さらに注意しなければ
ならないのは、「準拠法が必ずインドネシア法でなければならない」という点
であり、
インドネシアの法規制は特に念入りに確認しておく必要があります。

契約の終了については、加盟店が保護されており、一方的な契約解除については民法上の
規定によって管轄裁判所の許諾なしに行うことができず、契約が終了するまで、新たな
加盟店をアポイントすることはできません。そのためFC契約において一方的な解除が可能
である旨の条項を入れておくなどの対策が必要となります。

 

合弁契約とマスターFC契約のトラブル

 

◆FC事業における合弁契約◆


(1)意思決定のプロセスと出資割合
合弁契約には合弁会社の組織構成、意思決定のプロセス、合弁事業の解消方法などに
関する規定が設けられます。このうち、意思決定のプロセスについては株式の保有割合
に応じて様々な形態があり得ますが、少数株主に対してどこまで意思決定における
拒否権を与えるかが一つのポイントになります。

通常、20%程度以上の株式を保有する株主には一定数の取締役の指名権や重要事項の
決定についての拒否権が与えられる契約が一般的です。

特に50対50の株式保有割合にするとどちらの当事者も主導権を持てずとデッドロック
(運営が進まない状態)になるリスクがありますので、基本的には当方が50%を超える
出資割合を持っておくことが望ましいです。
 

(2)契約解消時のプロセス
解消のプロセスとしては①相手方の株式を買いとる②自分の株式を相手方または第三者に
売却する③一定の要件を定めたうえで③合弁会社を解散する④事業譲渡や会社分割によって
事業を分割するなどの方法が考えられます。

なお、①の相手方の株式の買い取りについては外資規制によっては日本企業がこの方法を
とることはできない場合があるので契約締結時に進出先の外資規制を調査しておく必要が
あります。


(3)契約解消後のトラブル防止策
合弁事業解消後、FC本部が株式を売却等して完全に撤退する場合には合弁会社が存続し、
FC事業が現地企業等によって引き続き運営されることになる。この場合にはFC本部の
コントロールがなんら及ばないため、FC本部の商号を引き続き使用させるのは基本的には
避けるべきであり、合弁契約上、そのような場合には「商号を以後使用しない」と言った
規定を置くこともあります。

また特に海外では、合弁事業解消後は現地法人が競業を行うことがよくあるため、合弁契約
でFC契約終了後の競業避止義務を相手方に負わせておくことも必須です。

 

◆マスターFC契約のポイント◆

(1)マスターFCとは
海外に合弁会社を設立した場合や、現地会社にFC権を付与する場合、現地法人とマスター
FC契約を締結することになります。なお、マスターFC契約の記載内容はエリアFC契約
ほぼ同じです。

(2)契約書作成にあたっての実務ポイント
(a)non-relaiance条項
事前開示に関して事前開示規制がある国では基本的にその規制通りに開示をしておけば
情報に虚偽がない限りそれほど大きな問題はおきません。

他方、イギリス/シンガポールなど事前開示規制がない国では開示に関して何をやっても
よいという訳ではなく、通常の契約法に従い不実開示等は違法となります。よってこれらの
国ではFC契約において、「加盟店はFC本部が書面で開示した事項を除き、本契約締結に
あたって信頼した事項はない」という趣旨のいわゆる「non-relaiance条項」を入れておく
ことをお勧めします。
すなわち、開示規制が特にないことの裏返しで、FC本部と加盟店が紛争になった場合に
加盟店が、「書面での開示以外に口頭で過大な売上を約束された」などの主張をすることが
比較的多いです。このような曖昧な状況を排除するために、開示は書面で行うと共に、
開示書面以外の事項について加盟店は信頼していない(契約判断の基礎としていない)
"non-relaiance"条項は、有効なのです。

(b)加盟店との関係の明記
「加盟店はあくまでもFC契約の相手方にすぎず、FC本部の代理人等ではないため、加盟店との
関係について、FC本部のAgentやRepresentativeではないということを契約上明記しておく
ことが必要です。また、国によっては加盟店とFC本部との関係が労働者と雇用者の関係で
あり、加盟店は労働者としての保護を受けるという解釈がされてしまう可能性があるため
加盟店とFC本部が雇用関係にないことも明記しておくことをお勧めします。

 

(3)契約解消時のプロセス
マスターFC契約の場合、FC本部と現地パートナー(合弁会社の出資者またはサブ・フラン
チャイザー)のみならず、現地の加盟店も契約関係に入っていることから、契約解消の
プロセスが複雑になります。

マスターFC契約を解消した次のステップとしては、大きく分けて以下の2つの選択肢が
あり、いずの選択をするかによって解消のプロセスは異なってきます。
***************************
(a)FC本部が当該国で事業を継続
(b)完全撤退
​***************************

(a)FC本部が当該国で事業を継続するケース
事業を続ける場合、合弁会社の別のパートナーを見つけるにしろ、100%子会社として
運営していくにしろ、すえに存在する直営店および加盟店を円滑に引き継ぐことが必要に
なります。従ってマスターFC契約上に、
「契約終了の場合にサブ・フランチャイザーと
しての地位をFC本部が引き継ぐことができる権利」
を規定しておくことが必要になります。
さらに、既に存在する直営店および加盟店を包括的に引き継ぐという定め方の他、引き継ぐ
ものを本部が選ぶ権利を留保しておくこともあります(所謂、チェリーピッキング条項)

但し、このような定めをしていたとしても、現地の加盟店との関係では、契約存続を主張
される可能性があるため、サブFC契約にもマスターFC契約終了の場合にはマスター・
フランチャイザー(=FC本部)に契約を終了する権限を留保しておくなどの手当てを
しておくことが安全です。


 

(b)FC本部が撤退するケース
FC本部が撤退する場合、マスターFC契約上はFC本部にある程度の期間をおいた事前通知
をもって自由な解約権を付与しておくのが通常です。またFC本部としては契約上の通知期間
にかかわらず、できるだけ早期に撤退方針をパートナーに伝えて契約を解消することが
パートナーの損害軽減や訴訟リスク軽減のために重要
です。国によっては継続的契約の法理
によって契約が制限される場合や成文法によってFC本部による解約に厳しい条件を付けている
場合もある
のでその点は契約締結段階できちんと調査しておきましょう。

 

 

◆合弁契約/マスターFC契約の解消◆

合弁事業を解消する場合、基本的には合弁契約の定める解消方法に従って解消を進める
ことになります。通常、解消を考える頃には関係が悪化していることが多く、その時に
なって解消方法を話し合ってもうまく合意に至らないことが多いですので、やはり
合弁契約に詳細な定めをおいておくことが重要になります。

例えば、当方の株式売却によって撤退する場合、基本的には合弁会社がFC事業を継続する
ことができる。そこでFC本部としては存続する合弁会社で同一の商号を引き続き使用すること
は禁止すべきですし、これを許諾する場合はライセンス契約を締結する必要があります。

また、即座に完全撤退するというのは軋轢を生みやすく、特に既に合弁会社がFCビジネスを
展開している場合には撤退もできるだけソフトランディングさせた方が良いことが多い。その
ために例えば合弁会社の株式売却後、当該合弁会社との間でしばらくマスターFC契約を継続
させたり、エリアデベロップメントアグリーメントに切り替えるなどして契約関係だけは
維持する形とするなどの方法があります。

また、合弁会社を解散したとしても、現地パートナーの競業のリスクが残るため、合弁契約
に合弁事業解消後の競業避止義務の定めがないようでしたら必ず解消時に競業禁止の合意を
とっておくべきです。

マスターFC契約の解消についてはあらかじめ契約上にプロセスを規定していない場合は
加盟店の引継ぎ(事業存続の場合)、解消時の事前通知等の要件の確認(撤退の場合)等
をポイントとして、サブ・フランチャイザーとの協議を進める必要があります。

 

◆合弁事業からの撤退と許認可◆

合弁会社の解散や株式譲渡により合弁事業を解消することについて、政府当局の許認可を
要する国(中国、インド等)があり、審査に長期間を要するケースもあります(数か月~
1年超に及ぶケースもあり)その間は、財務的に苦しい状況が続くため、いかにスムーズに
徹底するかが重要です。特に解散の場合は、労働者の処遇、資産の処分、債権債務の整理等
が問題になることが多いです。また、株式譲渡についても、譲渡先探しや価格交渉が難しい
ことも珍しくありません。

そのため合弁契約の中に、合弁会社の実態に合った具体的な撤退に関する条項を規定する
ことが重要となります。撤退の意思決定が恐らくなればなるほど問題が難しくなることが
多いので早期の判断が求められます。

 


 

 

 

 


 


 

 

 

 

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