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(1)意思決定のプロセスと出資割合
合弁契約には合弁会社の組織構成、意思決定のプロセス、合弁事業の解消方法などに
関する規定が設けられます。このうち、意思決定のプロセスについては株式の保有割合
に応じて様々な形態があり得ますが、少数株主に対してどこまで意思決定における
拒否権を与えるかが一つのポイントになります。
通常、20%程度以上の株式を保有する株主には一定数の取締役の指名権や重要事項の
決定についての拒否権が与えられる契約が一般的です。
特に50対50の株式保有割合にするとどちらの当事者も主導権を持てずとデッドロック
(運営が進まない状態)になるリスクがありますので、基本的には当方が50%を超える
出資割合を持っておくことが望ましいです。
(2)契約解消時のプロセス
解消のプロセスとしては①相手方の株式を買いとる②自分の株式を相手方または第三者に
売却する③一定の要件を定めたうえで合弁会社を解散する④事業譲渡や会社分割によって
事業を分割するなどの方法が考えられます。
なお、①の相手方の株式の買い取りについては外資規制によっては日本企業がこの方法を
とることはできない場合があるので契約締結時に進出先の外資規制を調査しておく必要が
あります。
(3)契約解消後のトラブル防止策
合弁事業解消後、FC本部が株式を売却等して完全に撤退する場合には合弁会社が存続し、
FC事業が現地企業等によって引き続き運営されることになる。この場合にはFC本部の
コントロールがなんら及ばないため、FC本部の商号を引き続き使用させるのは基本的には
避けるべきであり、合弁契約上、そのような場合には「商号を以後使用しない」と言った
規定を置くこともあります。
また特に海外では、合弁事業解消後は現地法人が競業を行うことがよくあるため、合弁契約
でFC契約終了後の競業避止義務を相手方に負わせておくことも必須です。
(1)マスターFCとは
海外に合弁会社を設立した場合や、現地会社にFC権を付与する場合、現地法人とマスター
FC契約を締結することになります。なお、マスターFC契約の記載内容はエリアFC契約と
ほぼ同じです。
(2)契約書作成にあたっての実務ポイント
(a)non-relaiance条項
事前開示に関して事前開示規制がある国では基本的にその規制通りに開示をしておけば
情報に虚偽がない限りそれほど大きな問題はおきません。
他方、イギリス/シンガポールなど事前開示規制がない国では開示に関して何をやっても
よいという訳ではなく、通常の契約法に従い不実開示等は違法となります。
よってこれらの国ではFC契約において、「加盟店はFC本部が書面で開示した事項を除き、
本契約締結にあたって信頼した事項はない」という趣旨のいわゆる「non-relaiance条項」
を入れておくことをお勧めします。
すなわち、開示規制が特にないことの裏返しで、FC本部と加盟店が紛争になった場合に
加盟店が、「書面での開示以外に口頭で過大な売上を約束された」などの主張をすることが
比較的多いです。このような曖昧な状況を排除するために、開示は書面で行うと共に、
開示書面以外の事項について加盟店は信頼していない(契約判断の基礎としていない)
"non-relaiance"条項は、有効なのです。
(b)加盟店との関係の明記
「加盟店はあくまでもFC契約の相手方にすぎず、FC本部の代理人等ではないため、
加盟店との関係について、FC本部のAgentやRepresentativeではないということを
契約上明記しておくことが必要です。また、国によっては加盟店とFC本部との関係が
労働者と雇用者の関係であり、加盟店は労働者としての保護を受けるという解釈がされて
しまう可能性があるため加盟店とFC本部が雇用関係にないことも明記しておくことを
お勧めします。
(3)契約解消時のプロセス
マスターFC契約の場合、FC本部と現地パートナー(合弁会社の出資者またはサブ・フラン
チャイザー)のみならず、現地の加盟店も契約関係に入っていることから、契約解消の
プロセスが複雑になります。
マスターFC契約を解消した次のステップとしては、大きく分けて以下の2つの選択肢が
あり、いずの選択をするかによって解消のプロセスは異なってきます。
***************************
(a)FC本部が当該国で事業を継続
(b)完全撤退
***************************
(a)FC本部が当該国で事業を継続するケース
事業を続ける場合、合弁会社の別のパートナーを見つけるにしろ、100%子会社として
運営していくにしろ、すえに存在する直営店および加盟店を円滑に引き継ぐことが必要に
なります。従ってマスターFC契約上に、「契約終了の場合にサブ・フランチャイザーと
しての地位をFC本部が引き継ぐことができる権利」を規定しておくことが必要になります。
さらに、既に存在する直営店および加盟店を包括的に引き継ぐという定め方の他、引き継ぐ
ものを本部が選ぶ権利を留保しておくこともあります(所謂、チェリーピッキング条項)
但し、このような定めをしていたとしても、現地の加盟店との関係では、契約存続を主張
される可能性があるため、サブFC契約にもマスターFC契約終了の場合にはマスター・
フランチャイザー(=FC本部)に契約を終了する権限を留保しておくなどの手当てを
しておくことが安全です。
(b)FC本部が撤退するケース
FC本部が撤退する場合、マスターFC契約上はFC本部にある程度の期間をおいた事前通知
をもって自由な解約権を付与しておくのが通常です。またFC本部としては契約上の通知期間
にかかわらず、できるだけ早期に撤退方針をパートナーに伝えて契約を解消することが
パートナーの損害軽減や訴訟リスク軽減のために重要です。国によっては継続的契約の法理
によって契約が制限される場合や成文法によってFC本部による解約に厳しい条件を付けている
場合もあるのでその点は契約締結段階できちんと調査しておきましょう。
合弁事業を解消する場合、基本的には合弁契約の定める解消方法に従って解消を進める
ことになります。通常、解消を考える頃には関係が悪化していることが多く、その時に
なって解消方法を話し合ってもうまく合意に至らないことが多いですので、やはり
合弁契約に詳細な定めをおいておくことが重要になります。
例えば、当方の株式売却によって撤退する場合、基本的には合弁会社がFC事業を継続する
ことができる。そこでFC本部としては存続する合弁会社で同一の商号を引き続き使用すること
は禁止すべきですし、これを許諾する場合はライセンス契約を締結する必要があります。
また、即座に完全撤退するというのは軋轢を生みやすく、特に既に合弁会社がFCビジネスを
展開している場合には撤退もできるだけソフトランディングさせた方が良いことが多い。その
ために例えば合弁会社の株式売却後、当該合弁会社との間でしばらくマスターFC契約を継続
させたり、エリアデベロップメントアグリーメントに切り替えるなどして契約関係だけは
維持する形とするなどの方法があります。
また、合弁会社を解散したとしても、現地パートナーの競業のリスクが残るため、合弁契約
に合弁事業解消後の競業避止義務の定めがないようでしたら必ず解消時に競業禁止の合意を
とっておくべきです。
マスターFC契約の解消についてはあらかじめ契約上にプロセスを規定していない場合は
加盟店の引継ぎ(事業存続の場合)、解消時の事前通知等の要件の確認(撤退の場合)等
をポイントとして、サブ・フランチャイザーとの協議を進める必要があります。
合弁会社の解散や株式譲渡により合弁事業を解消することについて、政府当局の許認可を
要する国(中国、インド等)があり、審査に長期間を要するケースもあります(数か月~
1年超に及ぶケースもあり)その間は、財務的に苦しい状況が続くため、いかにスムーズに
徹底するかが重要です。特に解散の場合は、労働者の処遇、資産の処分、債権債務の整理等
が問題になることが多いです。また、株式譲渡についても、譲渡先探しや価格交渉が難しい
ことも珍しくありません。
そのため合弁契約の中に、合弁会社の実態に合った具体的な撤退に関する条項を規定する
ことが重要となります。撤退の意思決定が恐らくなればなるほど問題が難しくなることが
多いので早期の判断が求められます。
説明は以上になります。
合弁契約とマスターFC契約におけるトラブルはできるだけその要因を事前に解消し、
そんなことは起きない方が良いに決まっています。そのポイントに
ついてのチェックポイントや改善点については下記の「26のステップ」
が参考になるかと思いますのでもしお時間があればぜひ併せて読んでみてください。
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