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FC本部が注意すべき労務管理上のトラブル

状況設定

例えばこんな状況はよくあるのではないでしょうか?

A社は「整体FCチェーンの足揉みん」ブランド名で全国に加盟店をもつFCチェーンで
ある。B社はA社の加盟店として整体院を運営している。B社は経費削減のため各整体院
に常駐する従業員の数を減らし、時間外労働も常態化していた。このような実態について
A社も把握していたが、これはB社の問題なので特に対策をとってこなかった。そうこう
しているうちに、B社は従業員に違法な長時間労働をさせているとして、労働基準監督署
から指導を受け、社名を公表されてしまった。

労務問題リスク

労務問題のコンプライアンスが機能していないと、当局から指導等を受けるリスクが
あるのはもちろん、ブラック企業として社会的に認知されてしまうという風評被害が
大きな問題となります。FC本部としては自社の労務リスクはもちろんのこと、
加盟店の労務リスクについても気を配る必要があります。なぜならばFC本部と加盟店は
別法人であっても世間の目から見れば、これらは一体とみなされる可能性があり、事実上
加盟店の違法行為はFC本部の評判を落としてしまうリスクがあるからです。

管理監督者と残業代

「管理監督者」とは、労働基準法41条2号に定められる、「監督若しくは管理の地位に
ある者」であり、労働時間に関する記載の対象外とされています。しかしこの表現は抽象
的であるため、「どこで管理監督者と一般労働者を区分けするか?」が問題となります。

この点については厚生労働省の通達や判例によって以下の3点を考慮すべきとされています。


①事業主の経営に係る決定に参画していることおよび労務管理に係る指揮監督権限を認めら
 れていること

②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること

③一般の従業員に比しその地位と権限に相応しい賃金を与えられていること

 

さらにFC事業でも特に「小売業/飲食業」の店舗における管理監督者の範囲について
は厚生労働省が特に通達を出し、この通達の重要な要素とされている項目に一つでも
該当した場合は管理監督者性が否定されるリスクが高まると言えます。

 

管理監督者の範囲が不適切である場合のリスクとは?

管理監督者性が否定された場合、是正勧告等の行政処分を受けるリスクがあるほか
民事訴訟によって過去2年分(労働債権の消滅時効は2年)の時間外労働および
法定休日労働に係る割り増し賃金を請求されることがあります。また労働基準監督署
によっては訴訟を起こした当該従業員以外の該当者全員に対して任意で未払いの残業代
を支払うケースもあり、企業規模によっては数億円の支出が発生することもあります。

判例による判断基準

例えばあるFCのエリア長については、①部下の採用、人事考課、勤務表作成・残業の
指示にかかわっているか?取締役会・経営会議棟に定期的に出席しているか?②出退勤
時間が決められているか?③職務手当支給の有無、非管理監督者の給与との比較等の
要素を見て判断することになります。なお、裁判所は一般的に管理監督者性を厳格に
判断しており、会社側が勝訴するケースはあまりみられません。

トラブルを防止するために

まずは、自社で管理監督者として扱っている範囲が適切か否かを専門家を交えて確認する
必要があります。特に多店舗展開している事業で、店長等を管理監督者として扱っている
場合は、管理監督者でないとされるリスクが高いです。

管理監督者として扱っている者が、管理監督者でないとされる可能性が相当程度高い場合、
取り扱いを変更し、通常の従業員と同様に時間外割増賃金を支払う事も検討の余地があり
ます。過去2年間の未払い分を任意に支払うと言うことも考えられますが、紛争に発展する
可能性等も考慮のうえ、判断します。

このように、管理監督者の範囲を厳格にとらえると、人件費の総額が増えることになるので
対策として、①職務手当の額を減らす②定額残業代制度の導入③裁量労働制の導入などが
考えられます。いずれも就業規則の不利益変更の問題もあるため慎重な検討が必要です。

外部労働者の活用に当たっての注意点(派遣、業務委託等)

外部の労働力を活用するにあたっては派遣、請負、業務委託など様々な方式がありますが、
派遣法の平成27年改正等もあり労働の実態によってはこれらが違法とされることもあり
ます。

派遣の留意点

①派遣法の意義

元々、人材の派遣は「供給契約に基づいて労働者を他人に使用させる」という労働者供給
事業に該当するものとして職業安定法44条により全面的に禁止されていました。これは
使用者と労働者との間に立って、労働者が受ける利益の一部をはねることを仕事としている
ものをできる限り排除し、使用者と労働者との間に近代的な労働関係を築こうとしたものと
されています。しかしながら企業側の弾力的な労働力調達のニーズや雇用の多様化を踏まえ
労働者供給のうち適正なものを派遣業として認めることとしました。このように労働者供給
は派遣法に基づくものを除き、原則は禁止されているというのが大事なポイント
です。
 

②派遣法の平成27年改正による派遣可能期間の見直し

派遣法は平成27年に大きな改正がされ、従来は専門性の高い業務を特定し、その業務に
ついては派遣期間の制限がなく、他方ではそれ以外の業務について原則1年、最長3年の
期間制限がありました。

これに対して27年の改正派遣法では専門業務と自由化業務の区分を廃止し、全ての
業務について以下のような事業所単位と個人単位の期間制限を設けることになっています。

(a)事業所単位

派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受け入れは原則3年を上限とする。

(b)個人単位
派遣先の同一の組織単位における同一の派遣労働者の受け入れは原則3年を上限とする。

 

③労働契約みなし申込制度
これは以下のような違法派遣を受け入れた場合に、派遣先が派遣労働者に対して派遣元の
労働条件と同一の条件で労働契約を申し込んだと見做す制度です。

(a)派遣禁止業務への派遣社員の受け入れ
(b)無許可・無届の派遣元からの派遣社員の受け入れ
(c)派遣受け入れ期間の制限を超える派遣社員の受け入れ
(d)偽装請負

 

④派遣社員の特定の禁止
派遣法では、派遣先が派遣社員受け入れにあたり、派遣労働者を選考し、特定する行為を
紹介予定派遣を受け入れる場合を除き禁止しています。そのため、派遣予定者を事前に
面接したり、履歴書の送付を求めることなどはできません。また性別を限定したり、
年齢の上限を設けたりすることもできません。一方で、派遣労働者が自らの意思で
派遣先事業所訪問や履歴書の送付を行う事は禁止されていません。

 

偽装請負、偽装出向の問題点

①偽装請負/出向の問題点


「請負」は請負人が委託者に業務の完成を約束し、委託者が報酬を支払う契約であり、
「出向」は出向元と雇用契約を保ちながら、出向先との間で新たな雇用関係を発生させ
出向先に勤務する契約です。

ところが、いずれも見た目は形が似ているため、「形式上は請負、業務委託、出向の形
をとっているけれども実態は労働者供給に当たり、違法=偽装請負/出向」というケースが
出てきます。請負等が実質的には労働者供給に当たるとみなされた場合、行政指導/勧告を
受け、刑罰の対象にもなることがあります(職業安定法64条9号)

 

②どのような場合に違法となるか?

請負、業務委託や出向が違法となるかどうかは、契約の名称ではなく「労働の実態」に
よって判断されます。
請負については行政解釈により、派遣との区別が詳細に定められて
います。(昭和61年労働者告示第37号「労働者派遣事業と請負により行われる事業
との区分に関する基準を定める告知」(平成24年厚生労働省告示第518号最終改正)、
厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成27年9月)3頁)。

「請負」、「業務委託」とされるためには原則として以下の要件を満たす必要があります。

(a)請負人が労働力を直接利用していること(業務遂行・労務管理・秩序維持について
   労働者を直接指揮監督すること
(b)業務処理の独立性(資金調達の独立性、業務遂行についての責任の負担、自らの
   企画や技術による業務遂行)

これらを満たさない場合には、実質的には違法な労働者供給とみなされることに
なります。

出向(出向元との雇用契約を維持するいわゆる在籍型出向)についてはこれが業として
行われるときは、違法な労働者供給に当たるものとされる一方、出向が以下のような
目的をもっているのであれば、出向が繰り返し行われていたとしても業として行われる
場合は少ないとされています。
(a)関係会社における雇用機会の確保
(b)経営指導、技術指導の実施
(c)職業能力開発の一環
(d)企業グループ内の人事交流の一環

偽装請負/偽装出向トラブルを防止するために

偽装請負/偽装出向の問題を回避するためにまずは自社に存在する請負、業務委託、出向
についてその実態をチェックし、適法と言えるかをチェックする必要があります。そして
疑わしい契約が合った場合にはその運用を見直す必要があります。

具体的には、業務委託であるのに現場で自社の従業員が直接個々の受託者従業員に業務
指示を出していたような場合
には、これを止めるべきです。もっとも受託者の責任者に
対して業務についての指示を行うのは業務委託契約上の指示にあたり許されます
ので
そのような扱いに変更できるか要検討です。

また、自社に受託者の従業員に来社してもらって業務を行う場合、自社従業員と机を
並べるなど、混在した形で業務を行う事は、指揮監督の独立性を損なうため避けるべき
です。もっとも同じ部屋にいても全く異なる業務を行っている場合は独立性は保たれて
いると考えても良いです。

加盟店の労務リスクと社名公表

加盟店が労務問題を起こした場合は、基本的に加盟店の問題であり、FC本部がコントロール
できるものではありません。しかしながらFCチェーンでは、加盟店がFC本部と共同で
FC事業を行っているため、加盟店の労務問題はFC本部のレピュテーションリスクに直結
とくには深刻な影響を与えます。
特に、厚生労働省が違法な長時間労働を繰り返している企業について早期是正の指導と
社名の公表を行うこととしており、社名の公表がリスクとなっています。

トラブルを未然に防止するためのソリューション

加盟店の労務問題は他人事ではなくFC本部のレピュテーションリスクに直結するという
認識をもち、このコンプライアンスが守れない加盟店はFC契約解除も辞さないという
姿勢が大事です。

対策としては労務管理について何かしらのモニタリング体制を設け、労基署からの指導が
入った場合は加盟店がこれを是正しているかFC本部がチェックするという対応が必要
なる場合があります。

 

 

説明は以上になります。

フランチャイズにおける労務管理に係るトラブルはできるだけその要因を事前に解消し、
そんなことは起きない方が良いに決まっています。そのポイントに
ついてのチェックポイントや改善点については下記の「26のステップ」
が参考になるかと思いますのでもしお時間があればぜひ併せて読んでみてください。

 

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